「意識が高い」と「意識高い系」の違い
「意識が高い」と「意識高い系」は、言葉はとても似ていますが意味は全く異なります。
「意識が高い」
「意識が高い」とは、ある事柄に関心を持ち、よく理解していることです。社会問題に関心を持ったり、自分のキャリアについて考えたり、勉強熱心だったり、といった人の性質を指します。
「意識高い系」
「意識高い系」は、常見陽平『「意識高い系」という病』(ベスト新書 2012年)によれば、セルフブランディング(※1)、人脈自慢、ソー活(※2)、自己啓発など、自分磨きに精を出し、やたらと前のめりに人生を送っているタイプの人を指します。
また、NHKプレミアムで放送されたドラマ『その男、意識高い系』では、
- やたらと自分のプロフィールを「盛る(もる)」
- ソーシャルメディアで意識の高い発言を連発する
- 人脈を必要以上に自慢する
- カタカナ大好き
【その男、意識高い系】
https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=3402
(※1)
「セルフブランディング」とは自分のブランドを高めること。
(※2)
「ソー活」とはソーシャルメディア(SNS)での活動のこと。2012年の「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされました。
【ユーキャン新語・流行語大賞 2012年受賞語】
https://www.jiyu.co.jp/singo/index.php?eid=00029
「意識高い系」の言葉の特徴や行動のあるある
言葉の特徴
- 名言を吐きまくる。
- 将来のビジョンについて無駄に熱く語る。
- 「拡散希望」投稿をやたらとする。
- 人脈自慢をする。
- 人を見下す。
- ビジネス用語(※3)を多用する。
- 「大企業にしがみついてはいけない」
- 「新しい日本(の価値)を創る」
- 「日本はこのままではダメだ」
- 「○○さんと会った」
- 「○○さんにSNSでフォローされた、友達になった」
- 「○○さんの意見は大したことがなかった」
- 「マスコミは、しょせん<マスゴミ>」
【コトバの意味辞典:「ビジネス用語」とは?意味や使い方をご紹介】
https://word-dictionary.jp/posts/656
行動のあるある
- 自分磨きが好き。
- プロフィールを誇張し、手の込んだ写真(場合によっては本人と大きく異なる)を載せる。
- やたらと人脈をつくり、自慢する。
- 勉強会・異業種交流会をやたらと開く。
- ビジネス書を読み漁り、真似をしまくる。
- サラリーマンを「社畜」扱いし、起業したがる。
- (なぜか国内でなく)海外ボランティア活動をする。
- 肩書がなんだかすごい。(例:ハイパーメディアクリエイター、コミュニケーションスペシャリスト)
「意識高い系」と思われてしまう要因
- 頑張る方向を間違えている。
- 空回りしている。
- 表面的にすぎないと感じる。
- 見ていて不安になってくる。
- あからさまに人を利用する。場合によっては「RT希望」「拡散希望」「シェアお願いします」なども該当。
- 人に迷惑をかける。
「意識高い系」が生まれた背景
冒頭で紹介した『「意識高い系」という病』によれば、もともとは就職活動などで「意識が高い学生」といった言葉が使われていたようです。ただし当初は本来の「関心を持ち頑張っている」といった意味で使われていました。
その後、2008年のリーマンショックにより就職が難しい時期が続き、自己PRの必要性が増しました。また同時期にソーシャルメディア(SNS)が普及し、情報発信やネットでの人脈作りが容易になりました。自分のアカウントのプロフィール写真や文章を作る機会が生まれたことも関係がありそうです。
「意識高い系」まとめ
以上のように「意識高い系」は、手軽に自分を魅力的に見せ、場合によってはそのために相手を見下し、利用する傾向があるようです。
本当の「意識が高い人」になるためには、自分の中身と伴わない行動や表現は避けつつ、地道に努力を積み重ねることが必要と言えそうです。