悪事千里を走るとは
「悪事千里を走る」とは、「あくじせんりをはしる」と読みます。「悪い行いや悪い評判はたちまち世間に知れ渡ること 」という意味の言葉で、「悪事千里を行く」と同義ですね。
よい行いはなかなか人に伝わらないものですが、悪いことをしたという評判はあっというまに世間に知れ渡り、遠方までも広がるものだと諭したことわざです。日常でもこういうことを感じるケースはありませんか。世の中の不条理を上手く表していますね。
悪事千里を走るの由来
「悪事千里を走る」は、宋の孫光憲による『北夢瑣言(ふくむさげん)』に「好事門を出でず、悪事千里を行く」とあることに由来しています。「好事門を出でず」は、よい行いは人に伝わりづらいことを表しています。
ちなみに「悪事千里を走る」を「犯罪などが伝わり拡大していく」の意味で使うのは誤用ですから、注意して下さい。
悪事千里を走るの使い方
- 一晩で噂は町中に広まった。悪事千里を走るとはこのことだ。
- 悪事千里を走るというから、行動には充分注意しなくてはいけないね。
- 「悪事千里を走るだよ」と友人から言われても全く身に覚えがない。
- 芸能人のスキャンダルが一斉に報じられた。まさに悪事千里を走るである。
悪事千里を走るの類語
- 人の口には戸が立てられない
- 悪い知らせは翼を持つ
- 隠すこと千里
悪事とは
悪事は以下の2つの意味を持ちます。
- 道徳や法律に背いた悪い行い。
- わが身に降りかかる災い。災難。
悪事が付くことわざ
- 悪事身にかえる:自分の犯した罪は巡り巡って自分を苦しめることになるの意。「身から出た錆」と同じ意味になります。
千里とは
千里には以下のような意味があります。
- 一里の千倍の距離。ここから転じてきわめて遠い所。遠方。
- 千里におよぶほどの広い地域。
千里を実際の距離に換算すると、約3930kmになります。北海道から沖縄県まで、地形を考慮しない一直線の距離が約2200kmですから、千里が「遠い」という語意を持つのも頷けます。
万里との違い
「千里」と「万里(ばんり)」はどう違うのでしょうか。「万里」とは「非常に遠い距離、場所」の意です。「万里のかなた」や「万里の長城」などはよく知られていますね。
「千里」と違い万里は明確な距離を表していません。遠いけれども現実的な距離である「千里」に対し、「万里」はさらにはるか遠い距離や場所を表すのです。
実際、万里を一里の万倍と考えると、メートル法では約4万kmの距離に値します。これは赤道の長さと同程度ですから、言い換えれば地球を一周する距離です。交通の発達した現代ならともかく、昔の人にとってはきっと途方もない距離であったことでしょう。
また「千里」と「万里」は、「千里万里」と重ねて使うこともあります。意味は「千里も万里も離れていること。転じて、物事がはなはだしくかけ離れていること」です。「千里万里の隔(へだ)て」などと使います。
千里が付くことわざ
- 千里の道も一歩より始まる:遠い旅路も一歩進むことから始まるように、大きなな仕事も手近な物事から始まること。
- 千里の駒(馬):一日に千里も走るほどの優れた馬。転じて才芸の傑出して人のたとえ。
- 惚れて通えば千里も一里:愛しい人の所に行くときは、遠い道もそれほど苦にならないこと。
- 虎は千里行って千里帰る:虎は一日で千里行って千里帰ってくることから、勢いの盛んな事の例え。
悪事千里を走るは英語でどう表現するのか
- Bad news travels fast.
- Bad news travels quickly.