「得る」とは?意味や使い方から読み方の違いまで徹底解説

「得る」という言葉、日常的によく使いますよね。でも、この言葉には「手に入れる」という意味だけでなく、意外と知られていない深い使い方や読み方のバリエーションがあるんです。実は関西弁の表現にもつながっているってご存知でしたか?

得るとは?得るの意味

物事を手に入れる、獲得する、または可能であることを表す動詞

得るの説明

「得る」は、物理的な物を手に入れる場合から、経験や知識、心の状態といった抽象的なものまで、幅広く「獲得する」意味で使われます。さらに「〜し得る」という形で「〜できる」という可能の意味も持ち、英語の「can」に相当する役割を果たします。読み方には「える」と「うる」の二通りがあり、後者は文語の名残でやや古風な印象を与えます。また、関西弁の「よう…せん」という表現も、実はこの「得る」から派生したもので、言葉の歴史の深さを感じさせます。

普段何気なく使っている言葉にも、こんなに豊かな背景があるんですね!

得るの由来・語源

「得る」の語源は古語の「う(得)」に遡ります。古代日本語では「手に入れる」「所有する」という意味で使われており、上代から確認できる基本的な動詞の一つです。漢字の「得」は「行く」と「貝(貨幣)」と「寸(手)」の組み合わせから成り、「手で貨幣を得て帰る」という原義を持ち、これが日本語の「う」に当てられたことで現在の形になりました。平安時代には既に「得る」の形で使われ始め、中世にかけて現在の用法が確立していきました。

一見シンプルな言葉にも、深い歴史と豊かな表現の可能性が詰まっているんですね!

得るの豆知識

面白いことに、「得る」には「える」と「うる」という二通りの読み方がありますが、実は否定形では「えない」のみが使われ、「うない」とは言いません。また、関西地方の方言「よう〜せん」(例:よう言わん=言えない)の「よう」は、実は「得る」の古語形「え」が変化したもの。さらに、数学や物理学では「解を得る」「解が得られる」といった専門的な使い方もされ、学術用語としても重要な役割を果たしています。

得るのエピソード・逸話

作家の夏目漱石は『吾輩は猫である』の中で「得る」を巧みに使い分けています。特に「〜ざるを得ない」という表現を多用し、主人公の猫の諦念ややむを得ない心情を表現しました。また、哲学者の西田幾多郎は『善の研究』で「純粋経験を得る」という表現を用い、独自の哲学概念を説明しています。現代では小説家の村上春樹が『ノルウェイの森』で「得る」と「失う」を対比させ、青春の喪失と獲得をテーマにした作品を生み出しました。

得るの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「得る」は日本語の可能表現体系において重要な位置を占めます。現代日本語の可能表現には「れる・られる」「ことができる」「〜得る」の三形式がありますが、「得る」は特に書き言葉や格式ばった場面で用いられる傾向があります。また、アスペクトの面から見ると、「得る」は「結果の状態」を表す完了相として機能し、「獲得」という動作の結果持続を表現します。歴史的には、上代日本語の四段活用から、中古日本語で下二段活用へと変化し、現代語の一段活用へと統合されるという興味深い変遷を辿っています。

得るの例文

  • 1 朝の通勤電車でたまたま座席を得られたとき、ほっとした安堵感と小さな幸せを感じる
  • 2 長時間かけて調べていた情報がようやく見つかり、必要な知識を得られた瞬間の達成感
  • 3 仕事で大きなプロジェクトを成功させ、上司や同僚からの信頼を得られたと実感したとき
  • 4 子育て中に少しだけ自分の時間を得られて、久しぶりに心の余裕を取り戻せた気がする
  • 5 友人との深い話し合いを通じて、新たな気付きと理解を得られたと感じる瞬間

「得る」の使い分けと注意点

「得る」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。特にビジネスシーンや公式な文書では、適切な使い分けが求められます。

  • 「得る」は獲得や入手を表すが、物理的な物だけでなく、許可や承認、理解など抽象的なものにも使える
  • 「〜し得る」は可能を表す格式ばった表現。日常会話では「〜できる」が自然
  • 否定形は「えない」のみ。「うない」は誤り
  • 「得る」と「獲る」「取る」はニュアンスが異なるので文脈で使い分ける

また、書き言葉では「うる」、話し言葉では「える」を使う傾向がありますが、これは絶対的なルールではなく、文体や好みによって柔軟に選択できます。

「得る」に関連する表現と類語

「得る」には多くの関連表現があり、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。状況に応じて適切な表現を選びましょう。

表現意味使用例
得る手に入れる、獲得する許可を得る、知識を得る
獲る努力して獲得する優勝を獲る、獲物を獲る
取る手に取る、奪う書類を取る、席を取る
手に入れる所有する状態にする情報を手に入れる
収得する正式に取得する資格を収得する

これらの類語は、獲得の方法やニュアンスが異なるため、文脈に応じて使い分けることが重要です。

歴史的な変遷と現代語への影響

「得る」は古代日本語から現代まで、興味深い変遷を遂げてきました。その歴史は現代の用法にも影響を与えています。

  1. 上代日本語:四段活用「う」として使用
  2. 中古日本語:下二段活用「う」へ変化
  3. 中世日本語:一段活用「える」が出現
  4. 近世日本語:「える」と「うる」の併用が一般化
  5. 現代日本語:両読みが定着、文体による使い分け

言葉は生き物のように変化し続ける。『得る』の歴史は、日本語の豊かさと柔軟性を示す好例である

— 国語学者 金田一京助

この歴史的経緯から、現代でも「える」と「うる」の二つの読み方が残り、それぞれ異なるニュアンスを持って使い分けられています。

よくある質問(FAQ)

「得る」の読み方は「える」と「うる」どちらが正しいですか?

どちらも正しい読み方です。「える」は現代的な読み方で、「うる」は文語的な響きがあります。否定形の場合は「えない」のみが使われ、「うない」とは言いません。文脈や好みで使い分けることができます。

「〜し得る」と「〜できる」の違いは何ですか?

「〜し得る」はより格式ばった、書き言葉的な表現で、可能であることを示します。「〜できる」は日常会話でよく使われる口語的な表現です。意味はほぼ同じですが、場面や文体によって使い分けられます。

「得る」を使った慣用表現にはどんなものがありますか?

「〜ざるを得ない」(〜するしかない)、「禁じ得ない」(がまんできない)、「有り得る」(可能性がある)などが代表的な慣用表現です。いずれも少し硬い表現で、改まった場面で使われることが多いです。

「得る」と「獲る」「取る」の違いは何ですか?

「得る」は広く何かを手に入れる意味で、抽象的・具体的なもの両方に使えます。「獲る」は努力して獲得するニュアンスが強く、「取る」は手に取る・奪うなど、より物理的な動作に近い意味合いがあります。

関西弁の「よう〜せん」と「得る」に関係はありますか?

はい、深い関係があります。関西弁の「よう言わん」(言えない)の「よう」は、実は「得る」の古語形「え」が変化したもので、不可能を表す表現として現在も使われています。