「していきます」の使われ方
みなさんは、普段どんな場面で「していきます」を使いますか?
- 「○○を紹介していきます。」
- 「勉強をしていきます。」
- 「仕事をしていきます。」
- これから○○を紹介する。
- これから○○を紹介して、なおかつ(どこかに)行く。
文法で考える「していきます」
次に文法的にはどうなのでしょうか。「していきます」を分かりやすく次のように分解して説明します。
【し・て・いき・ます】
【し】:動詞「する」の連用形
【て】:接続助詞
【いき】:補助動詞「いく」の連用形
【ます】:助動詞
補助動詞
この中で、注目すべきは【いき】の部分です。【いき(いく)】は補助動詞といって、他の動詞の後について付属的に用いられる動詞です。ここでいう他の動詞とは【し(する)】のことです。
補助動詞は動詞本来の意味を保たないため、【いき】に「行く」の意味が含まれないのです。
接続助詞
また補助動詞が他の動詞の後につく時に、動詞と補助動詞の間には接続助詞がつきます。それが【て】です。
【し】は元々は動詞の「する」でしたが、【て】が後に付くことで「する」の連用形である【し】に変化したというわけです。
連用形
動詞は後につく言葉によって色々な形に変化しますが、連用形はそのうちの一つの形だと思ってください。例えるなら、「歩きます」の「ます」につながる「歩き」の部分が「歩く」の連用形だと言えます。
語尾の【ます】は丁寧語の意味をプラスする役目を担っていますが、例文でもこの【ます】が付くことで「いく」が連用形になり【いき】になっています。このように、「していきます」は文法的に互いに影響しあっているのです。
「していきます」と「します」の違い
前述の通り【いき】の部分は補助動詞「いく」の連用形であり、補助動詞「いく」には、「行く」という動詞本来の意味は含まれません。ところが実は、「いく」を補助動詞として使う時は、継続・順次のような意味を表す語となるのです。
- 歩きます。
- 歩いていきます。
- 石を拾います。
- 石を拾っていきます。
このように「していきます」は「します」の意味に、継続・順次の意味が付加されているわけです。
「してまいります」や「していきたい」の関連性は
「していきます」と「します」の違いが分かったところで、その他の似ている単語との関連性も調べてみましょう。
「していきます」と「してまいります」
「してまいります」は【し・て・まいり・ます】に分けられます。【まいり】は「まいる」の動詞の連用形。
「していきます」では「いく」の連用形である【いき】の部分にあたります。
「まいる」の元の形は「参る」で「行く」の謙譲語です。つまり、「していきます」に謙譲の意味合いが付加されているので、よりへりくだった言い回しになります。
「していきます」と「していきたい」
「していきたい」は【し・て・いき・たい】に分けられます。【たい】は願望を表す助動詞で、文法上の役割は「していきます」の【ます】の部分にあたります。「したい」「やりたい」の意味があり、「していきます」とは意味が異なります。
「していきます」の使い所
昨今「していきます」は世間一般に使われており、日常生活だけではなく、ビジネスの世界においてもしばしば見られる表現となりました。
しかし、「していきます」ではなく「します」で良いのでは?という意見も見られ、受け手によっては不快感を抱く場合もあるようです。
「していきます」には「します」には無い継続・順次といった意味があります。伝えたい内容によって、上手くこの二つの言葉を使い分けられるといいですね。