「ビーコン」の意味
「ビーコン」は"Beacon"と表記する外来語で、本来は位置を知らせるのろし・かがり火の意味として使われてきました。この本来の意味が転じて、現在では「無線電波を利用して位置情報を特定する機能」を指す意味として用いられています。
例えば、無線局などから航空機や自動車などの乗り物に、位置情報を伝達する設備を指して「ビーコン」と呼びます。また、「雪崩ビーコン(※後述)」のように、「ビーコン」は必ずしも固定の箇所から位置情報を発信するものに限りません。
更に、IoT技術の発展に伴いコンピュータ通信にも「ビーコン」が導入されるなど、私たちの生活の中に「ビーコン」が活用される場面がたくさんあります。
「ビーコン」が注目されている背景
「ビーコン」は、無線で信号を発することで相手に位置を知らせます。最も古い雪崩ビーコンは1940年にスイスで考案されたそうですが、その「ビーコン」が今、非常に注目されています。
Bluetoothの発展
「ビーコン」が注目されている背景の一つに、Bluetooth(近距離無線通信規格)の発展があります。もともとBluetoothは消費電力が大きく、「ビーコン」のように多数の受信機を配置する用途には向いていませんでした。
しかし、Bluetooth Low Energy(BLE)という低消費電力の通信モードが登場したことで、ピンポイントで位置情報を特定可能になりました。そのため、「ビーコン」をより安価で活用しやすい環境となったのです。
「ビーコン」のスマートフォン対応
また、スマートフォンへの対応も「ビーコン」が注目されるようになった大きな理由です。iPhoneで有名なApple社は、iOS 7からiBeaconという通信プロトコルを搭載しています。これにより、スマートフォンやタブレットがビーコンの機能を持てるようになりました。
IoTの分野が発展すると同時に、「ビーコン」も注目され、より活用されるようになったと言えるでしょう。
「ビーコン」の活用例
「ビーコン」はどのように活用されているのでしょうか。代表的な事例をいくつかご紹介します。
雪崩ビーコン
雪崩ビーコンは、雪崩に巻き込まれた人の探索する時に役立つものです。登山やスキーで雪山に入る際、雪崩ビーコンを常時作動させていれば、万が一雪崩に巻き込まれた場合でもビーコンから発信される信号を探索者が受信して、早期発見につながる可能性が高くなります。
雪崩ビーコンから発信される信号の探知範囲は数十メートルほどです。雪崩で埋没した場合、15分程度で生存率が急激に低下すると言われており、発見・救助するのは時間との戦いです。そのため、雪崩ビーコンが重要な役割を担います。登山者の必需品と言えるでしょう。
VICS
VICS(ビックス)とは、"Vehicle Information and Communication System"の略で、渋滞や交通規制などの道路交通情報をリアルタイムにカーナビに提供するシステムです。カーナビとの情報の伝達に、「ビーコン」が使用されています。
LINE Beacon
スマホコミュニケーションアプリLINEを使用している人は、LINEから近くのお店のお得な情報が届くことがありませんか?これは、LINE Beaconという機能によるものです。
自分のスマートフォンと近くのお店や自動販売機などがビーコンを経由してLINEと連携することで、様々な特典が受けられるサービスです。
具体的には、以下のようなサービスがあります。
- 自動販売機でドリンクを購入するとポイントが貯まる
- スマホをビーコンに近づけるとLINE Payで支払いができる
- 限定動画を見ることができる
- クーポンを利用できる
- 店舗限定情報を受け取ることができる
「ビーコン」と「GPS」の違い
「ビーコン」の他に位置情報を取得する機能として、「GPS」があります。
「GPS」は、人工衛星からの電波を受け取って位置情報を把握します。一方「ビーコン」は、無線電波により位置情報を把握します。一口に「位置情報を取得する」と言っても、「ビーコン」と「GPS」では通信に使用する電波に大きな違いがあります。
さいごに
今回ご紹介した「ビーコン」の活用例の他にも、見守りサービスに導入されるなど、「ビーコン」は私たちの生活に身近な存在となっています。安全・安心・便利な生活を送るためにも、今後「ビーコン」は更に活躍の場を広げていくことでしょう。