「猫の手も借りたい」とは?
「猫の手も借りたい」とは「非常に忙しく手不足で、どんな手伝いでも欲しいこと」を例えて言うことわざです。「あまりに忙しくて、ネズミを捕ることしか能のない猫の力でさえも借りたいくらい」ということから出来た言葉です。ちなみに「猫の手を借りたい」は誤用なので間違えないようにしましょう。
「猫の手も借りたい」の由来
「猫の手も借りたい」の由来は、江戸時代中期の近松門左衛門作の浄瑠璃にあるとされています。
浄瑠璃の一節に「上から下までお目出度と、猫の手もかりたい忙しさ」と出てきたのが元になって「猫の手も借りたい」が忙しさを表す言葉として出来たと言われています。
「猫の手も借りたい」の英語表現
「猫の手も借りたい」を英語でいうと”I need every little help I can get”や”I'll take all the help I can get”といった表現が当てはまります。
”I need every little help I can get”は「どんなに小さい助けでも必要としています」という意味で「猫の手も借りたい」の「誰の助けでも良いから欲しい」という意味を表すことができます。
”I'll take all the help I can get”は「もらえるだけの手助けを手にする」という意味で、これも忙しくてとにかく助けが欲しいという「猫の手も借りたい」の意味合いが伝わります。
「猫の手も借りたい」の使い方
「猫の手も借りたい」は忙しいことを表現するときに使います。使い方次第ではネガティブな表現にもポジティブな表現にもなります。
例えば「クレーム客の対応に追われて猫の手も借りたいほどだったよ」というと本当に忙しくて大変だったことが伝わります。反対に「この間オープンした新店舗がおかげさまで猫の手も借りたいほど忙しいです」という風に使うと、店が繁盛していて喜ばしい気持ちを表現できます。
「猫の手も借りたい」は失礼?
「猫の手も借りたい」は自分が忙しいことを表す分には問題ないですが、相手に対して使ってしまうと失礼にあたる可能性があるので注意が必要です。
「猫の手も借りたい」はまさに「誰でも良いから助けて欲しい」という言葉ですから、助けて欲しい相手に使ってしまうと「誰でもいい」の部分が強調され不快な印象を与えてしまいます。
「猫」を使った言葉
「猫の額」
「猫の額」とは猫の額が狭いところから「場所の狭いこと」を表す言葉として使われるようになりました。猫の額は毛に覆われていて境界線がわかりません。あるのかないのかわからないほど狭いということのようです。
「猫をかぶる」
「猫をかぶる」とは「自分の本性を隠して、おとなしそうに振る舞うこと」を例えることわざです。
一見寂しがりやで甘えん坊で可愛らしい動物の猫ですが、怒らせると飛びかかってくるほど獰猛な一面も持ち合わせています。そんな猫の二面性から、うわべだけを柔和によそおうことを「猫をかぶる」と言うようになったそうです。
「猫を殺せば七代祟る」
猫は執念深い動物であると言われています。猫を殺すと子々孫々まで祟るという俗説があり、「猫を殺せば七代祟る」はそのことを表しています。動物をみだりに殺してはいけないという教えもこめられた言葉かもしれません。
「猫可愛がり」
「猫可愛がり」とは「飼い猫をかわいがるように、むやみにかわいがって甘やかすこと」という意味の言葉です。
よく猫は犬とは違って飼い主に忠誠を誓ったりしないと言います。飼い主に恩返しをする気もない猫をかわいがることで、見返りを期待しない愛情を表現した言葉でもあります。