「萌え」と「豚」
まず「萌え豚」という言葉は、「萌え」と「豚」、2つの単語に分けられます。
「萌え」の意味
「萌え豚」においての「萌え」とは、何かに対しての好意、愛着、執着を表す言葉です。以前は主にアニメや漫画、ゲームのキャラクターに対して使われていましたが、広まるにつれて現在では、単純に好きなものに対しても使われるようになりました。
「萌え」とは「好き」と似た感情であり、たとえばキャラの髪型や服装、キャラが登場する一部のシーン、特定のシチュエーションなど、対象は多岐に渡ります。
また非常に定義が曖昧であり、「好き」との違いは難しくも、たとえば「〇〇に萌える」とは使っても、「〇〇に好き」とは使いません。この場合は「〇〇が好き」となり、一方で「〇〇に好きだと伝える」とは使います。
「〇〇が好き」と比べて「〇〇に好きだと伝える(に~する)」は、「伝える(する)」という自分の行動に重きを置いています。よって「萌え」とは「好き」を内包しつつ、より自分に重きを置いた、自己完結性の高い好意的な感情だと言えます。
「豚」の意味
「萌え豚」においての「豚」とは、家畜としての豚を表します。これは人間を家畜の豚に見立てた、いわゆる比喩表現です。
家畜の豚は安全な環境で育ち、人間によって与えられる餌を消費し、いずれ人間が利用するべく出荷されます。
それを「安全な環境=現代社会」、「与えられる餌=萌えるコンテンツ」、「人間の利用=話題にしてくれる、そのコンテンツに金を落とす」と重ね、萌えるコンテンツを特に好む人間を、豚に見立てています。
「萌え豚」の意味
上述を踏まえて「萌え豚」とは、萌えるコンテンツを特に好む人間を揶揄した、蔑称です。しかしながら最近では自虐を込め、自ら名乗る人間も居ます。
萌えるコンテンツを好む人間にも様々なタイプが居ますが、とりわけ「萌え豚」と呼ばれる人間は、萌えるキャラやシーンのみを重視し、たとえばアニメや漫画であれば、ストーリーを軽視する傾向があります。
なので制作側が萌えに特化したコンテンツを与え、萌えのみに食い付き、消化して次へ、という流れが出来あがります。
つまり「萌え豚」には、そういった傾向や流れを「萌えれば何でもいいのか」と批判し、蔑む意味が込められています。
「萌え豚」の使い方
「萌え豚」は萌えのみを重視してその他を軽視したり、萌えるコンテンツに盲目的に食い付く人間を指して使われます。最近では自ら名乗る人間が居るとはいえ、基本的には蔑称なので、使う際には注意が必要です。
たとえば「このキャラは萌える!」と騒ぎ立てる人間に対し、「萌え豚かよ」と呆れのニュアンスを込めて使われます。また作品のストーリーに触れず、「萌え」のみに言及する人間に対し、「萌え豚だな」と蔑みを込めて使われます。
「萌え豚」に関わる言葉
「萌え豚」に関わる言葉として、「ブヒ」が挙げられます。豚の鳴き声を「ブヒィブヒィ」などと表現しますが、ここでの「ブヒ」は「萌え豚」の発言、または「萌え」そのものを指す、比喩表現です。
「ブヒ」について
誰かを指す「萌え豚」が名詞である一方、鳴き声=行動を指す「ブヒ」は動詞です。なので「ブヒる」、「ブヒっている」、「ブヒれる」と使われます。
「萌え豚」は蔑称ですが、「ブヒ」は動詞ゆえに蔑みのニュアンスが弱く、「萌え豚」と呼ばれる人間自身が使うことも多いです。ただし「ブヒ」を使う時点で自身を豚に見立てており、自虐には変わりありません。
たとえば「萌え豚がブヒっている」と使えば、「萌え豚が萌えを語っている、萌えについて騒いでいる」と伝わります。また「このキャラはブヒれる」と使えば、「このキャラクターは萌えられる」と伝わります。
加えて上述の通り、「萌え」そのものを指す場合もあるので、会話の流れによっては「ブヒィ!」と使い、「萌え!」とも表せます。