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「好きこそものの上手なれ」の意味
「好きこそものの上手なれ」は何事も、好きであればこそ上手になる、という意味のことわざです。
物事は嫌々やったのでは集中することができず、上達も遅いものです。一方好きなことというのは、熱心に取り組むものであり、苦労を苦労とも思わず自然と努力を積み重ねることができます。そしてその結果上達することになります。
「ものの上手なれ」の「もの」は「物」と漢字表記されることもあります。「もの」は「特にこれとは指示できない物事」を意味します。また、「こそ」は「なれ」を結びとする係助詞で、強調を表す際に用いられます。
「好きこそものの上手なれ」の例文と使い方
- 妹は昔からお菓子作りが大好きで、休みごとにケーキなどを作っていた。好きこそものの上手なれでどんどん腕を上げ、今ではプロ顔負けの腕前だ。
- 仕事をうまくやっていくために必要なことは、「仕事が好きなこと」に尽きます。好きこそものの上手と言うでしょう。
- 我が家の末っ子は、兄弟で一人だけ成績がよく「勉強が好き」と言っている。好きこそものの上手なれだと、家族一同驚いている。
「好きこそものの上手なれ」は、例文のように「好きこそものの上手」や「好きこそ道の上手なれ」といった様々な異表現があります。
「好きこそものの上手なれ」の用例
「好きこそものの上手なれ」は、江戸中期ごろから各種文献に見られますので、用例をご紹介します。
浄瑠璃『菅原伝授手習鑑』(1746年)
国木田独歩『画の悲しみ』(1902年)
また、一橋大学の楠木建教授の著書『「好き嫌い」と才能』は、「好きこそものの上手なれ」がキーワードになっています。元陸上選手の為末大さんなどとの対談を通し、各人の好きなことがどのように仕事と結びついているのかが書かれています。
「好きこそものの上手なれ」といろはかるた
「好きこそものの上手なれ」がいろはかるたの世界に登場するのは、大正時代辺りからのようです。子どもが描かれている絵柄が主となっています。NHKのマイクの前で歌を歌う子どもの横で、カーンカーンカーンとかねがなっているものなどが収録されています。歌唱大会で合格したのかもしれませんね。
ちなみに「好きこそものの上手なれ」が一般化する前のいろはかるたの「す」は、「粋(すい)が身を食う」でした。これは、粋人とちやほやされていると、遊興に深入りしすぎていずれ身を滅ぼすことになる、という意味です。
「好きこそものの上手なれ」の類語と対義語
「好きこそものの上手なれ」の類語
- 好きは上手のもと
- 好きは上手の始まり
- 道は好む所によってやすし
「好きこそものの上手なれ」の対義語
- 下手の横好き
- 下手の物好き
- 下手の悪好き
これらは、下手なくせに好きで熱心だ、という意味です。「好きこそものの上手なれ」とは反対の言葉ですが、人間らしさの表れと言えるかもしれません。
「好きこそものの上手なれ」の英語表現
- Who likes not his business, his business likes not him.(自分の仕事が好きでない者は、仕事の方も好きになってはくれない)
「好き」から始まることわざ
- 好きは身を通す芥子(からし)は鼻を通す(芥子がツンと鼻に来ても、好きな人は食べることをやめない。同様に好きなことは苦労してもしたいと思うものだ)
- 好きの道に辛労無し(好きなことに対しては、辛さも苦しさも感じないものだ)
- 好きには身を窶(やつ)す(好きなことには身がやせ細るほどの苦労も厭わないものだ)