「人を呪わば穴二つ」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

よく「人を呪わば穴二つ」と言うけれど「穴二つ」って一体なんのことでしょう?実は「穴二つ」は、このことわざの成り立ちに深く関係した言葉なのです。本記事では「人を呪わば穴二つ」の意味や由来、そして気になる「穴二つ」についてくわしく解説します。

目次

  1. 「人を呪わば穴二つ」の意味
  2. 「人を呪わば穴二つ」の由来
  3. 「人を呪わば穴二つ」の使い方
  4. 「人を呪わば穴二つ」の類語と相違点
  5. 「人を呪わば穴二つ」という意味の英語

「人を呪わば穴二つ」の意味

誰かを恨んだり憎んだりしたとき「人を呪わば穴二つだよ」なんて言われた経験はありませんか?「人を呪わば穴二つ」とは、他者に対する悪行は自分の身にも返ってくるという意味のことわざです。

「人を呪わば」の部分は口語に直すと「人を呪ったら」なので意味は通じますが、不思議なのは後半部分ですよね。「穴二つ」とは一体なんのことなのでしょう?実は「穴二つ」は、このことわざの成り立ちに深く関係した言葉なのです。

「人を呪わば穴二つ」の由来

古来、日本には陰陽師と呼ばれる官職の人たちがいました。陰陽師は少なくとも、西暦600年頃には既に存在していたようです。その後着々と地位と名声を高めた陰陽師は、占いや天文学、暦などの知識によって宮廷内のさまざまな政に関わりました。

平安時代に活躍した陰陽師

陰陽寮に所属する陰陽師は朝廷に仕える役人ですので、その技は本来政務のために活用されるべきです。しかしかの有名な陰陽師・安倍晴明が出現した頃には既にかなり規律が乱れ、貴族からの依頼を私的に請け負う者がいたり、陰陽寮に所属していないモグリの陰陽師が仕事を請け負ったりということが横行していたようです。

作家・夢枕獏原作の小説『陰陽師シリーズ』でも、主人公の安倍晴明が藤原兼家や在原業平といった貴族、あるいは民間人の依頼を請け負うことからストーリーが発展するのがセオリーとなっています。

陰陽師が掘らせた「穴」

さて、ここからが本題です。私的に陰陽師と関わりを持っていた貴族たちは、占術や祈祷のみならず、時には政敵の呪殺を依頼することもありました。このとき依頼を請けた陰陽師は前もって、呪い殺す相手の墓穴(はかあな)と自身の墓穴、2つの穴を掘らせていたそうです。これが「穴二つ」の由来となりました。

呪術の世界には呪い返しという概念があります。呪った相手が呪詛(じゅそ)をはね返した場合、かけた呪いが呪者本人に返ってくるのです。それを知っていた陰陽師たちは、人を呪殺する際には呪い返しにあって自身が死ぬことも考慮に入れ、自分の分の墓穴も掘らせていたのです。

「人を呪わば穴二つ」の使い方

かつて陰陽師たちは、呪い返しに遭って自身が死ぬことを覚悟のうえで他者を呪っていました。とはいえ「人を呪わば穴二つ」は、「人を呪うなら覚悟のうえで」という意味ではもちろんありません。先述のとおり、現在では「他者への悪行は“必ず”自身に返ってくる」という意味で使用されています。

例えば「確かに彼のことは憎いが、人を呪わば穴二つだ。私は怒りを忘れることにした」といった使い方ができます。

「人を呪わば穴二つ」の類語と相違点

「人を呪わば穴二つ」の類語には「因果応報」や「自業自得」といった四字熟語があります。これらの語句の共通点は「自身の行いが自身に返ってくる」という点ですが、厳密にはそれぞれ微妙にニュアンスが違います。

まず「人を呪わば穴二つ」は、他者に対する悪行が自身に返ってくるということわざです。これに対して「因果応報」と「自業自得」で自身に返ってくるものは、必ずしも悪行の結果とは限りません。善い行いが善い結果を生んだ場合にも使用されるのです。

さらに「自業自得」は行為と結果の因果関係が比較的ハッキリしていますが、「因果応報」はもっと曖昧にも使用されます。「親の因果が子に報い」という言葉があるように、報いを受けるのは行動を起こした本人とは限らず、あるいは前世の報いを現世で受けたという場合もあります。

「人を呪わば穴二つ」という意味の英語

最後に「人を呪わば穴二つ」と同じ意味の英語のことわざを紹介します。“Curses like chickens, come home to roost.”は、「呪いはひな鳥がねぐらに帰るがごとし」という意味のことわざです。

要するに、他者に対する悪行はひな鳥が巣に帰るように、必ず自身に返ってくるということですね。恨みつらみは忘れがたいものですが、後ろ向きな感情はけっして自身のプラスにはなりません。誰かを憎みそうになったら「人を呪わば穴二つ」を思い出し、自制につとめたいものです。


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