「弘法も筆の誤り」とは?意味や使い方をご紹介

「あの人があんなミスをするなんて、弘法も筆の誤りだね。」こんな場面で、「弘法も筆の誤り」という言葉を聞いたり、使ったりしたことがあるのではないでしょうか。日常でもよく使われることわざですね。この記事では、「弘法も筆の誤り」について解説します。

目次

  1. 「弘法も筆の誤り」とは?
  2. 「弘法も筆の誤り」例文
  3. 「弘法も筆の誤り」由来
  4. 「弘法も筆の誤り」類義語
  5. 「弘法も筆の誤り」英語での表現

「弘法も筆の誤り」とは?

「弘法も筆の誤り」は、「こうぼうもふでのあやまり」と読みます。「弘法にも筆の誤り」と書かれることもあります。

「弘法」とは、真言宗の開祖としても知られる平安時代初期の僧、空海のことです。承和(じょうわ・しょうわ)2年(835年)に亡くなったのち、延喜(えんぎ)21年(921年)、醍醐天皇(だいごてんのう)より「弘法大師」の諡号(しごう、貴人・僧侶などに死後に贈られる名前のこと)を贈られています。

書の名人としても知られ、嵯峨天皇(さがてんのう)、橘逸勢(たちばなのはやなり)と並び、三人の優れた書道家として「三筆(さんぴつ)」と呼ばれています。

「弘法も筆の誤り」とは、書の名人である弘法であっても書き誤ることがある、ということで、どんなにその道に秀でている人であっても、失敗することはある、ということをたとえています。

弘法筆を選ばず

見た目が似ていることわざに、「弘法筆を選ばず」があります。

これは、弘法のような書の名人ならばどんな筆でもじょうずに書ける、ということで、その道の名人ならば道具の良しあしは関係ない、という意味に使われます。したがって、「弘法も筆の誤り」とは違う意味のことわざです。

「弘法も筆の誤り」例文

  • 料理じょうずなお母さんが、おせち料理に限って失敗するなんて、「弘法も筆の誤り」だね。
  • 英語が得意なあの人が、たまたま英語での道案内ができなかったなんて、「弘法も筆の誤り」だ。
  • あの人はそろばんが得意なのに、計算ミスをしてしまったらしい。「弘法も筆の誤り」とも言うからね。

「弘法も筆の誤り」由来

平安時代末期の説話集、『今昔物語集』に、次のような話があります。
 

京都の大内裏に応天門という門がありました。弘法大師は天皇から命じられ、この門に掲げる額の文字を書くことになりました。ところが、弘法大師は「応」の字の上の点を打ち忘れてしまい、額はそのまま掲げられてしまいます。

門の高い位置に掲げられてしまった額の文字をどう直すのか、周りの人たちは困ってしまいます。すると弘法大師は、打ち忘れた点の位置に筆を投げつけて、見事に点を打ち、文字を直しました。

「弘法も筆の誤り」ということわざは、この話が由来とされています。

「弘法も筆の誤り」類義語

猿も木から落ちる

「さるもきからおちる」と読みます。木登りが得意な猿でも、時には誤って木から落ちることがある。その道の名人でも失敗することがある、というたとえです。

河童の川流れ

「かっぱのかわながれ」と読みます。泳ぎがじょうずな河童でも、川で流されておぼれてしまうことがある。じょうずな人でも失敗することがある、という意味です。

その他の類義語

  • 上手の手から水が漏れる(じょうずのてからみずがもれる)
上手は達人のことです。
 
  • 千慮の一失(せんりょのいっしつ)
どんなに賢い人でも、たくさんの考えの中にはひとつくらい間違えてしまうこともある、ということを表しています。
 
  • 釈迦にも経の読み違い(しゃかにもきょうのよみちがい)
仏教の開祖であるお釈迦様でも、経を読み間違えることがある、という意味です。
 
  • 孔子の倒れ(くじのたおれ)
「くじ」は、中国の思想家の「孔子(こうし)」のことです。孔子のような聖人君子でも、時には失敗することがある、というたとえです。
 
  • 竜馬の躓き(りゅうめのつまづき)
竜馬は足の速い馬のことです。そのような優れた馬でもつまづくことがある、ということです。

「弘法も筆の誤り」英語での表現

  • Even Homer sometimes nods.
名人でも間違うことがある。

Homerは、古代ギリシャの詩人、ホメロスのことです。nodsは、うなずくという意味から、こっくりこっくり居眠りをすることも表します。有名な詩人、ホメロスでさえも、時々は居眠り(失敗)をしてしまうことがある、という意味のことわざです。


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