「アイドル」という言葉の意味
日本における「アイドル」は、英語の『Idol』が元となったカタカナ語で、主に10代から20代前半の歌手やタレントを指します。また職業としてでなく、崇拝の対象・憧れの的といった意味でも用いられます。
一方英語の「アイドル」には、もう一つ『Idle』と書く言葉もあります。こちらは【仕事のない】、あるいは【暇な】といった意味になります。自動車などのエンジンを負荷をかけずに空転させる『アイドリング』という言葉は、この単語が元となっています。
「アイドル」の使い方
- 昨日は「アイドルグループ」のコンサートに行って盛り上がった。
- 「推しメンアイドル」の写真集を買った。
- 今度のイベントに「ご当地アイドル」を呼ぼう。
- 彼はクラスのアイドル的存在だ。
- 社内のアイドルの突然の寿退社に、男性社員は落胆を隠せないようだ。
「アイドル」の語源
「アイドル」という言葉の元となった英語の【Idol】には、偶像や崇拝といった意味があります。その語源はギリシャ語の【エイドス】(意味:形)であり、【エイドス】から【エイドーロン】(意味:実体のない形)という言葉が生まれたとされます。
この【エイドーロン】がアメリカに伝わり、そこで偶像や崇拝される存在に対して「アイドル」という言葉として用いられる様になりました。
日本では当初、海外スターを「アイドル」と呼称していましたが、1960年代から徐々に国内の芸能人にも使われるようになったと言われています。
「アイドル」のグループ化
「アイドル」の存在が著しく目立つようになったのは1970年代に入ってからではないでしょうか。この当時はどちらかと言えばソロの歌手が主流で、「アイドルグループ」はまだ少なく、人数も2~3人、多くても5人位のグループがほとんどだったようでした。
1980年代に入ると、ジャニーズ事務所から男性の「アイドルグループ」が次々にデビューし、人気を集める様になりました。それに対して女性「アイドル」は相変わらずソロが主流でした。
大人数女性アイドルグループの誕生
この「女性アイドル」界に大人数のグループとして誕生したのが、1985年にデビューした『おニャン子クラブ』でした。
『おニャン子クラブ』は2年程で解散しましたが、この当時似たようなグループが複数デビューしていました。しかし『おニャン子クラブ』以外はあまりヒットすることは出来なかったようです。
その後、1998年に大人数の「女性アイドルグループ」として『モーニング娘』がデビューし、メンバーが変わりながらも現在も活躍しています。さらに2005年に『AKB48』が「会いに行けるアイドル」として秋葉原を拠点にして誕生し、その後「全国的アイドルグループ」に成長して行きました。
このあたりから人数の多い女性グループが続々とデビューし、最近では「アイドル」といえばグループが基本にあり、そこから人気の出たメンバーが独立(卒業とも言います)し、それぞれの道で活躍して行く傾向が一般的になって来ているようです。
「アイドル」の多様化
最近では「アイドル」も多様化し、様々なコンセプトを持ったグループが存在しています。
ご当地アイドル
「ご当地アイドル」とは読んで字のごとく、それぞれの地域で農作物やイベントの宣伝のために結成された「アイドルグループ」を指します。
年齢も必ずしも若い人ばかりではなく、場合によっては中高年のメンバーで結成された「アイドルグループ」もある様です。地元の発展のために活躍している地域振興型アイドルと言えるのかも知れません。
地下アイドル
「地下アイドル」は、元々は秋葉原にあるビルの地下で、将来の「アイドル」を目指して歌やダンスを披露する「アイドルの卵」達を指す言葉でした。しかし今やその数も規模も拡大し、「地下アイドル」を応援するファンも増えて、もはや「地下」には限らないくらいに活躍の場も広がっているようです。
カフェや飲食店が、自店の店員を「地下アイドル」にするケースも多く、ファンにとっては気に入ったアイドル(『推しメン』とも言う)が、カフェの店員や、マッサージ店の従業員として働いている店に行き、親しく話をすることが出来るというメリットも「地下アイドル」の魅力と言えそうです。
この「地下アイドル」からメジャーデビューした「アイドルグループ」も何組もいるようで、もはや「アイドル」は時代とともに多様化して来たとも言えるのではないでしょうか。
崇拝される存在から友人、知人の様な存在へと変化している「アイドル」。そう考えると、昔の「アイドル」と今日の「アイドル」は、かなり形の違う存在になってきているのかも知れません。