「かしずく」とは?意味や使い方をご紹介

「かしずく」と言われて何となく理解できても、実際に使う機会は少ないかもしれません。どちらかと言えば、日常生活の中で使用頻度は低いでしょう。今回は「かしずく」の表記や意味、使い方について、できるだけ具体例を挙げて解説していきます。

目次

  1. 「かしずく」の漢字表記と漢字の意味
  2. 「かしずく」の意味
  3. 「かしずく」を使った熟語
  4. 「かしずく」の派生語

「かしずく」の漢字表記と漢字の意味

「かしずく」は、実は、漢字で書き表すことができます。

漢字で書くと…

傅(かしず)く」と書きます。単純な漢字の組み合わせで、左に人偏を、右の上に「甫」を、下に「寸」を書けば完成です。

意味は?

音読みは「」で、右側の部分が音を示します。字形は少し異なりますが、清国最後の皇帝としてして知られる、「愛新覚羅儀(あいしんかくらぎ)」は同じ読み方です。

「物に手をしっかりあてがう、助ける」の意味を持ち、人偏と組み合わさっていることから、「しっかり人に付き添う」という意味になります。

ちなみに、「補導」の「補」にも「傅く」と同じような関係が見られるそうです。深夜徘徊している少年たちにピッタリと寄り添い温かい声をかけている人々の姿と重なって見えるかもしれませんね。

「かしずく」の意味

「傅く(かしずく)・例文」は、現代における使用例があまりないため、ここでは主に、古文にその用例を見ていくことにします。古文においては表記が「かしづく」とされていますが、現代の意味とほぼ同じです。

1. (高貴な)人のそばに控えて、身の回りのお世話をする。

  • 母は長年にわたって祖父母にかしずいて暮らしてきました。
  • 長い間、○○先生の下でかしずいて生活をし、国政選挙に名乗りを上げました。
  • ”冬子をかばっていたが、同じ協力の力は、「御新造様、御新造様」と礼儀と親愛をもって傅く裏に、…” 出典:島田清次郎著・『地上』

    訳:冬子をかばっていたが、同じ協力の力は、「新造様、新造様」と礼節を親しみを込めて身の回りのお世話をする裏に、…。

2. 大切に見守りながらお世話をする。

  • ”親たちかしづきたまふことかぎりなし” 出典:『堤中納言物語』(虫めづる姫君)

    訳:親たちが大切にお育てなさること、この上ない。
 
  • ”前にも既に説(い)うごとく、この人形は亡き母として姉妹(あねいもうと)が慕い斉眉かしずく)物なれば…” 出典:泉鏡花著・『活人形』

    訳:前に説明したように、この人形は亡くなった母と同じような存在として姉や妹が慕い、大切にしていたものだから…

「かしずく」を使った熟語

「傅」を使った二字熟語と四字熟語についてそれぞれ紹介していきます。

「傅」の入った四字熟語

為虎傅翼(いこふよく)
力のあるものがさらに力をつけることを意味します。肉食獣の中でも上位に位置する虎に翼を付けたら、さらにパワーアップしますよね。漢字検定1級で出題されるレベルです。

虎為翼(ふこいよく)」や「為虎添翼(いこてんよく)」と書き換えることもできますよ。意味は、同じです。

「傅」を使った二字熟語

  • 育(ふいく):高貴な人の子どもの養育に携わること。
  • 愛(ふあい):傅き愛すること。
  • 彩(ふさい):色を付けること。
  • 佐(ふさ):他者の助けとなること/なる人。
  • 役(もりやく):高貴な人の子どもの養育と教育を行う人。

「かしずく」の派生語

上記同様に、古文の中から派生語の例を示していきます。

思いかしずく:心を込めてお世話をする。

”その後はこの猫を北面にも出ださず思ひかしづく。” 出典:『更級日記』(をかしげなる猫)

訳:その後は、この猫を多くの人が集まる部屋にも出さないで心を込めてお世話する。

なでかしずく:大切に、大切に可愛がって育てる。

”…明け暮れ護りて、なでかしづくること限りなし。” 出典:『源氏物語』(東屋)

訳:…と、昼夜を問わずお世話して、大切に大切に扱われることこの上ない。

もてかしずく:大事にお世話する。

”一の皇子は、右大臣の女御(にょうご)の御腹にて、寄せ重く、疑ひなき儲の君と、世にもてかしづき聞こゆれど…” 出典:『源氏物語』(桐壺)

訳:帝の一番目の皇子は、右大臣の娘で女御となった人が御産みになられ、後ろ盾が厚く、疑いなく皇太子になられる人であると、世間でも大事にお世話し申し上げていますが…。


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