「せっかち」とは
「せっかち」とは「落ち着きがなく、先へ先へと急ぐこと。またそのような性格、人物」ということを意味します。通常はあまりほめる意味では使いません。
「せっかち」に行動すると、問題に早く決着がつくかもしれません。ですが、一方ではマイナス面も多くあり、ほとんどはたしなめたり、揶揄するような場合に「せっかち」を使います。かつては「せっかち」だと、虚血性心疾患発症のリスクが高まるとも言われていました(現在では一概には言えないとされています)。
ことわざでは「急かねば(せかねば)事が間に合わぬ」といった「せっかち」を肯定する内容のものもありますが、どちらかというと「急がば回れ」「慌てる乞食(こじき)は貰い(もらい)が少ない」のように急ぐことに対して否定的な傾向のものが強いようです。
海外では
「せっかち」を否定的に捉えることわざは海外にも存在し
- 物事を急いでするのは悪魔の流儀、神様はゆっくりとする(ペルシャ語)
- 急ぐのは悪魔のやり方(エジプト)
- 悪魔は急ぐ仕事に潜んでいる(トルコ)
- 急ぐ欲望は遅れと同じ(ミャンマー)
「せっかち」な人は…
「せっかち」とは、学術的には「タイプA行動パターン」と言います。反対にのんきな人のことは「タイプB」と呼ばれます。ある研究によると、タイプAの特徴は
- 常に時間の切迫感・焦燥感・緊張感を持って行動する。
- 目的遂行には精力的・持続的に没頭する。
- 他者に対して競争意識・攻撃性が強い。
「せっかち」の由来
「せっかち」は「急勝(せきがち)」から変化したものであろうとされています。
「急き」は「急く(せく)」の活用形で、「急く」は早くしようと焦ることです。「急いては事をし損ずる(=無暗に急ぐと、かえって失敗するという意味)」というときの「急く」と同じ意味です。
また「勝ち(がち)」は、勝ち負けの勝ちではなく、そうなりやすい傾向があるという意味の接尾辞です。「曇りがち」と言うときの「がち」と同じ使い方になります。
「せっかち」の用例
- 彼はせっかちなので、のんびりした人とは、どうもリズムが合わないんです。
- さっき契約書にサインしたかと思えば、すぐに次の取り引き相手を探すなど、せっかちと言うほかない。
- 友達から歩くのが早いと指摘され、自分がせっかちだということに気が付いた。
「せっかち」の類語と英語
「せっかち」を言い表す言葉は、洋の東西を問わず、多数存在します。
類語は
「性急(せいきゅう)」「短慮(たんりょ)」「短気(たんき)・気短(きみじか)」「躁急(そうきゅう)」「気早(きばや)」「忙(せわ)しない」などがあります。擬態語を使うと「せかせか」「バタバタ」「こせこせ」などで表現できます。
英語では
- impatient:忍耐力がないというところから「せっかち」となります。
- impetuosity:激しく衝動的に行動することから「せっかち」につながります。
- hasty(temper):慌ただしく動くことから「せっかち」につながりますが、どちらかというと軽はずみな傾向のことを言います。
- quick-tempered:気が短いことから「せっかち」を意味しますが、すぐに腹を立てる・怒りっぽいことを言います。
「せっかち」な人あるある
ネット上で見受けた「せっかち」な人あるあるを紹介します。
- エレベーターの閉ボタンを連打する。
- 目の前にちんたら歩いている人がいると、追い抜きたくなる。
- 仕事が遅い人にイラつき、奪い取ってやってしまう。
- 待ち時間では落ち着かずに貧乏ゆすり。
- 信号機はいつもフライング。
- 常にぎりぎりまで行動しない人が気にくわない。
- 長話が嫌いで、さっさとオチを聞く。
- 焼肉が焼けるまで待てない・カップラーメンが3分待てない。
- 飴は舐めないでさっさと噛む。