「dope」の意味
「dope」は英語の名詞、もしくは動詞で、「ドープ」と発音します。名詞だと「麻薬」、動詞だと「～に麻薬を使う」「～にドーピングをする」などの意味があります。また、口語的な表現では「間抜け」という意味になったり、逆に「格好いい」という意味になったりもします。
「dope」の語源
「dope」は元から英語にあった言葉ではなく、19世紀頃にアメリカで生まれた言葉であるようです。語源については諸説あり、アフリカ東南部の先住民が戦闘や儀礼の際に飲んでいた「dop」という強い酒が由来であるという説や、オランダ語で「濃いディッピングソース」を表す「doop」が語源であるという説があります。
オランダ語起源説によれば、最初はグレイヴィーソース（肉汁）を指す言葉として使われていたのですが、これが阿片（どろっとした液状の物質として流通していた）を連想させるので、やがて麻薬を指す言葉として用いられるようになったということです。
「格好いい」という意味の「dope」
アメリカのサブカルチャーの一部には、麻薬を格好いいものと捉える風潮があります。このことから、「麻薬」を表す「dope」が、「格好いい」という意味のスラングになりました。ニュアンスの似た日本語を探すなら、「（いい意味で）ヤバい」が近いでしょう。最初は主にヒップホップ・カルチャーの中で使われていた表現ですが、最近ではポップカルチャー全般で使われています。次のように、ミュージシャンを褒めるときによく使われる表現です。
- I could always listen to Jay Z he too dope.（いつもJay-Zを聴いてるけど、彼はヤバいね）
- Maroon 5 concert was pretty dope!（Maroon 5のライブ、最高にヤバかった！）
インスタグラムでも「dope」は使われています。写真を上げるときに「#dope」というハッシュタグを付けたり、写真を褒めるときに「super dope」とコメントしたりします。
「間抜け」という意味の「dope」
口語的表現で、人物に対して「dope」を使うと「間抜け」という意味になります。前述の「格好いい」という意味の「dope」とは逆に、麻薬をネガティブなものと捉えて生まれたスラングです。
- My brother was such a dope.（兄はかなりの間抜けだった）
というように使います。
ボクシングにおける「dope」
ボクシングで、「rope-a-dope（ロープ・ア・ドープ）」と呼ばれる戦法があります。1974年にモザンビークの首都キンシャサで行われたヘビー級タイトルマッチで、ジョージ・フォアマンと戦ったモハメド・アリが使用した戦法です。
アリはロープ際に追い詰められたように見せかけてフォアマンの攻撃を防御し続け、彼が消耗したのを見計らって攻勢に転じ、KO勝ちを収めました。ロープ際に追い詰められた「dope（間抜け）」を装い、相手に無駄なパンチを打たせる戦法というわけです。アリの勝利は「キンシャサの奇跡」と呼ばれています。
BTS (防弾少年団）の「dope」
2018年8月、K-POPグループのBTS (防弾少年団）の「dope」のミュージック・ビデオが、YouTubeで3億5,000万再生を突破しました。「dope」はアルバム「花様年華pt.1」に収録されている楽曲で、MVがYoutubeに投稿されたのは2015年です。
「花様年華pt.1」は「青春の苦悩」をコンセプトとして制作されたアルバムで、「dope」の歌詞にもワーキングプアを指す「三放世代」「五放世代」というような流行語が盛り込まれ、韓国の若者の辛い現状を示唆する一方、そのような現実に負けずに自分のスタイルを築いていくという決意が歌われています。