「白河夜船」とは
「白河夜船(しらかわよふね)」は、二つの意味がある四字熟語です。一つは、「ぐっすり寝込んでいたために何が起こったのか全く知らないこと」という意味です。さらに、「知ったかぶり」という意味もあります。
「白河」は「白川」、「夜船」は「夜舟」と表すこともあります。しかし、漢字が変わっても意味は同じです。
「白河夜船」の語源
「白河夜船」は、故事の『毛吹草(けふきぐさ)』という物語が語源となっています。簡単にまとめたものをご紹介します。
このように、本当は京都になど行っていないのに、嘘をついて知ったかぶりをしていることがわかります。しかし、「白河」の意味を勘違いしていることがすぐに判明し、結局嘘は露呈されてしまいます。
「白河夜船」の例文と使い方
- 友人は何度も電話をかけたらしいが、私は白河夜船でまったく気づかなかった。
- せっかくの鉄道の旅を、綺麗な車窓風景があったのに、白河夜船で過ごしてしまった。
こちらの例文は、「熟睡していたのでまったく気づかなかった」という意味を表しています。何か大ごとがあっても気づかずに眠り続けるとは、よほど疲労が溜まっていたのかもしれませんね。
- その映画のことは全く知らないのに、白河夜船で話を合わせてしまった。
- 友人が、まだ発売していない雑誌のことを話していた。きっと白河夜船だろう。
一方、このように「知ったかぶり」をしている様子を表すこともあります。知らないと思われるのが恥ずかしい、という見栄があるのかもしれません。「白河夜船」がどちらの意味で使われているかは、前後の文脈で判断しましょう。
「白河夜船」の関連語
「眠り」についての表現は多数ありますが、ここでは「ぐっすりと寝込む」様子を表す言葉をいくつかご紹介します。
- 春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)
- 眠りこける
- 昏々(こんこん)と眠る
映画『白河夜船』
皆さんは、『白河夜船』というタイトルの映画をご存じでしょうか。吉本ばななさんの小説が映画化されたものです。主演は安藤サクラさん、その恋人役は井浦新さんが務めています。
恋人の電話を待つ以外は、ずっと自宅で眠り続けているという女性が主人公です。なんとも特殊な状況ですが、この深い眠りについてはいくつもの痛々しい理由があるのです。
ただの「睡眠」ではなく、「どうしようもないほどの眠気」「眠るとは何か」ということなどを考えさせられるような物語になっています。
「白河夜船」のまとめ
私たちが健康に生活するには、睡眠が必要不可欠です。長時間まとめて眠る人や、ショートスリーパーと呼ばれる人もいるでしょう。
いずれにしても、不安や恐怖を感じることなく、安心してぐっすり眠ることができたら良いのではないでしょうか。しかし、「白河夜船」のように、何か重大なことが起きたのに気づかずに眠り込んでしまうのも、不便なことかもしれませんね。