「一期一会」の意味
「一期一会」は、一生に一度の出会いを意味します。また、二度とはないこと、という意味もあります。
「一期一会」の読み方
「一期一会」は「いちごいちえ」と読みます。「一期」は仏教用語で「人が生まれてから死ぬまでの間」、つまり一生を意味します。「一会」も元は「仏教の法会などの集まり」を意味する言葉でした。どちらも仏教由来の言葉であり、仏教の慣習に従った読み方のため、「いっきいっかい」と読むのは誤りです。
「一期一会」の教え・その1
「一期一会」には、人との出会いも物との出合いも一生に一度限りなのだから、その出会い(出合い)を大切にしなくてはいけませんよ、という戒めが込められています。
「一期一会」の教えその2
さらに、今あるこの機会は一生に一度限りのものと心得て、そのことに専念するべきですよ、という戒めの意味も込められています。これは一生に一度しか出会わないという意味ではありません。相手が誰であろうと、何かをする機会そのものが人生で一度きりしかないものなのだから、何に対しても誠実な心で接するべきですよ、という教えなのです。
「一期一会」の使い方
- ふらりと立ち寄ったギャラリーで一枚の絵に心惹かれた。非常に高かったが、一期一会と思い、思い切って購入することにした。
- 人との出会いは旅の醍醐味の一つである。一期一会の縁を大切にしたい。
- お客様の笑顔をはげみに、一期一会の精神で日々仕事に取り組もうと思う。
3つ目の例文には、上記の教え・その2の意味が込められています。「一期一会」における出会いというのは、人に限らず、物や仕事などに対しても使うことができますね。
「一期一会」の誤った使い方
- 先生との一期一会は去年の同窓会が最後になった。
- 今朝の「行ってらっしゃい」が一期一会になるなんて、夢にも思わなかった。
「一期一会」はこれらの例文のように「最後の出会い」という意味では使いませんので、使い方に気を付けてくださいね。
「一期一会」の由来
「一期一会」の教えについてより深く理解するために、その由来も詳しく見ていきましょう。実は「一期一会」は、茶道における心構えを表した言葉なんですよ。
「一期一会」の出典
みなさんは安土桃山時代の茶人、千利休をご存じでしょうか? 実は「一期一会」は千利休の言葉だと言われています。「茶会は毎回、一生に一度のものだという思いを込めて、誠心誠意、真剣に行うべきである」という理念を表した言葉なんです。
千利休の弟子、山上宗二が『山上宗二記』の中の「茶湯者覚悟十躰」で、そうした理念について「一期に一度の会」と記したのが始まりです。
「一期一会」の広まり
この「一期に一度の会」という言葉を「一期一会」と記したのが、幕末の大老で茶人でもあった井伊直弼です。『茶湯一会集』という著書の中で「一期一会」を茶の湯の心得の言葉として紹介したことから、この「一期一会」という言葉が広く認識されるようになったと言われています。
茶道における「一期一会」
茶道において「一期に一度の会」というのは、この人に会うのはこの茶会一度きり、という意味ではありません。同じ主人、同じ客として何度茶会に参加するとしても、今日というこの日に、この茶会という機会を共有して過ごすのは、今この一度きりである、という意味なのです。
つまり、例えいつもと同じメンバーで行われる茶会であったとしても、主客共に心を込めて真剣にふるまわなくてはいけませんよ、ということなのです。
「一期一会」のまとめ
普段よく使う「一期一会」という四字熟語は、「この人に出会えて本当によかった。一期一会だ」という使い方が多いのではないでしょうか。しかしそれだけではないんですね。
相手が毎日を顔を合わせる夫や妻であっても、父や母であっても、共に過ごせる今この時こそ「一期一会」です。また、毎日惰性のように行っている仕事だって「一期一会」です。後悔のないよう、何事にも日々誠実に心を込めて過ごしたいものですね。