「未来」の意味
「未来」(みらい)とは、時の流れを「現在」「過去」とともに三区分したうちの呼び方で、現在のあとにあり、未(ま)だ来ていない部分のことです。
例えば、「5分後」はまだ来ていませんから「未来」ですし、「10年後」や「100年後」も同じく「未来」です。
狭義の意味
「未来」には、以下のように狭義の意味もあります。
- 仏教用語で、三世(さんぜ)のひとつ。「後世」(ごせ)や「来世」ともいい、「過去」「現在」に対して「いまだ来ないもの」の意。「時」の区分というより、実体なき「存在の変遷」としての過程を表す語。
- 文法における時制のひとつ。今より後にあると推量する事柄を述べるもの。(日本語には厳密な意味での未来時制は存在しないとされる。英語では「will」を用いた表現が相当する)
「未来」の使い方・例文
「未来」は、大抵の場合において「未知、わからないこと」という色味を帯びて使われ、その未知性ゆえに「輝かしい、明るい未来」「暗い未来」などのように、希望や絶望の価値観を帯びた形容詞で修飾されることが珍しくありません。
一方、物理学的には時間を遮るものはありませんから、「日本の未来を考える」「彼は未来の大統領だ」などのように、いずれ訪れる時間とその状況を言い表すためにも使われます。しかしこの場合も、「未だ来ない」ゆえに推量・想定を含むのが通例です。
心理学的に考えれば、「現在」に絶えず近づいてくる「未来」は人間の精神に少なからぬ影響を与えていると考えられ、人間の意思のあり方、生き方、選択の責任、人生論などの考え方にも常に影響を及ぼしていると言えるでしょう。
近未来/遠い未来
数百年後、数千年後といった大きなくくりではない、「現在」から地続きの、あるいは現在の延長線上として想定しやすい数年後~数十年後の未来のことを「近未来」(きんみらい)と呼ぶことがあります。
「未来」が、何もかも未知でわからないといった文脈で使われることもあるのに対し、「近未来」は、主に科学的考証や想像力によって裏付けられた「ありうるかもしれない、少し先の現在」をイメージして使われる傾向にあります。
「近未来」とは逆に、「遠い未来」という言い方もあります(「遠未来」とは言いません)。この場合は、現在からは想像もつかないような、多様な可能性を孕んだ「未来」のすがたが描き出されると言えます。
例文
- 子どもの頃は、自分の目の前には明るい未来があるとばかり思って、毎日がただ楽しかった。
- 貯金が少なく、仕事も続けられる気がしない。未来のことを考えると、憂鬱だ。
- 君が社長を継いでくれれば、わが社の未来は安泰だ。
- かの作家の新作は、子どもが減りすぎた近未来の日本を舞台にしたSF小説だ。
- 遠い未来には、気軽に宇宙の果てまで行って、別宇宙の異星人と交流するなんてことも日常になるのだろうか。
「未来」の類語
「将来」
「未来」の類語として、意味がよく似ている言葉に「将来」があります。両者は同じようにも使われますが、「将来」は未来ほど漠然としておらず、ある程度必然性もある、それなりに近い未来のことを言います。
例えば、「自分の将来を考える」と言えば、現実的に手が届きそうな近い未来を考えていますが、「自分の未来を考える」だと、まださまざまな可能性もありうる、不確かな未来のことを考えています。
「前途」
「前途」(ぜんと)とは、「行く道のり」のことで、転じて「(人生の)行く末」や「将来」を意味する言葉です。
「前途有望な若者」のように使うほか、四字熟語では「前途洋々」や「前途多難」といった表現も良く知られています。
「行方」
「行方」(ゆくえ)は、文字通り「進んで行く先」という意味もありますが、比喩的に「行く末、前途、将来」の意味もあります。
「まだ幼い子どもの行方を案じる」と言えば、通常は物理的な行き先のことではなく、「将来を心配する」という意味でとらえるのが一般的です。
その他の類語
「未来」は身近な感覚であるため、他にも「先」「行く先」「先々」「これから」「以後」「以降」「以来」「来(きた)る」などの言葉も類語たりえます。状況に応じてこれらの言葉も使いこなしましょう。
「未来」にまつわる名言
「未来」に関する理解を深めるため、「未来」にまつわる名言をいくつかご紹介します。