「躊躇」の意味
「躊躇(ちゅうちょ)」という名詞は、あれこれ迷って決心できず行動に移せないことを表します。「躊躇する」のように「する」を付けて動詞として用いることもしばしばです。
また、送り仮名に「う」を付けることで「躊躇う(ためらう)」と読むこともあります。いずれにしろ、いちど決断したことに対して決意が揺らいでいるという意味合いが含まれています。
「躊」や「躇」について
「躊躇」を構成する「躊」と「躇」ですが、読み方ではいずれも「ためらう」「たちもとおる」という訓読みをもちます。
「たちもとおる」とは、「あちこち歩きまわる」「さまよう」という意味を表します。あれこれ迷って決心できない様子が、さまよう姿と似ていると考えられたのでしょう。
「躊躇」の使い方(例文)
- 私はそのとき、彼女の表情に一瞬だけ躊躇の色が現れたのを見過ごさなかった。
- 一度イギリスに留学すると決めたのなら、躊躇せず実行に移せばいいじゃないか。
- 躊躇するも何も、我々に残されたのは攻めの姿勢を崩さずにただ前へ進む道だけです。
いずれの例文においても、何かを実行しようと一度は決断したものの何らかの理由でそれが揺らいでいる点に注目しましょう。また、可能であればその理由が何であるかも示せれば意味合いが伝わりやすいでしょう。
「躊躇」と似た意味のことば
- 逡巡(しゅんじゅん)…決断できずにぐずぐずしていること。
- 尻込み…気おくれをしてぐずぐずしていること。
- 二の足を踏む…二歩目をためらって足踏みをすること。
これらはいずれもためらいの気持ちがある点では同じですが、微妙なニュアンスの違いもあります。例えば逡巡は、そもそも行動に移す決断すらできていません。
尻込みは、決断をしたのかもしれませんが、行動に移すことをためらっています。二の足を踏むは、行動の第一歩は踏み出せたものの、後が続いていません。
例文
- 正直なところ、大学進学にあたり奨学金を受給するか否かで逡巡している。
- きつい仕事だと聞いて尻込みしていたところで事態は何も変わりませんよ。
- 約束の店の前まで来たが、高級そうな雰囲気で中に入るのに二の足を踏んだ。
「躊躇」と対立する意味のことば
- 決断…意志をはっきりと決めること。
- 覚悟を決める…意志や心構えを持つこと。心の準備をととのえること。
- 迷いが吹き飛ぶ…心の乱れが消えてなくなること。
これらの言葉は、いずれも行動する意志を持ったり、その心理的障害となりえるものを取り払うことに成功した場合に用いられます。
例文
- 早いとこ決断して行動に移さないと、我が社には一刻の猶予もありません。
- さあ、ここで覚悟を決めて新しい世界へとただちに旅立とうではありませんか。
- あなたの厳しいが愛情たっぷりの言葉で一切の迷いが吹き飛びましたよ。
「躊躇」を英語で表すと?
「躊躇」を含む英語表現には次のようなものがあります。
- hesitation(躊躇)
- feel hesitant(躊躇する)
- unhesitatingly(躊躇なく)
いずれの表現も動詞の「hesitate(躊躇する)」がベースになった派生語です。「hesitation」は名詞として、「hesitant」「unhesitatingly」はそれぞれ形容詞、副詞として用いられます。
例文
- Ask for help without any hesitation when needed.(いざとなったら躊躇なく助けを求めてね。)
- You may well feel hesitant under such conditions.(そのような状況下で君が躊躇する気持ちも分かる。)
- We agreed unhesitatingly to a merger with ABC company.(我々は、躊躇することなくABC社との合併話に合意した。)