「片や」とは?意味や使い方をご紹介

「片や」<かたや>という言葉は文語的な響きがありますが、「片や文系、片や理系」のように意外と日常生活でも使う言葉でしょう。しかし、相撲でも用いられることがあるのはご存じですか?今回は「片や」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「片や」とは
  2. 「片や」の使い方
  3. 「片や」の類語

「片や」とは

「片や」<かたや>には、次のふたつの意味があります。一般的に用いられるのは1の意味です。

  1. 相対するもののうちのひとつ。片一方。
  2. 相撲において、行司が先に土俵に上がる力士を呼ぶときに用いる言葉。

相撲における「片や」

2の意味では、後から上がる力士を呼ぶときには「此方」<こなた>と言います。また、力士名は二回繰り返すので、行司は「片や○○、○○。此方△△、△△」と呼び込むのです。

ただし、この呼び込みは、三役(元来は大関・関脇・小結のこと。現在では関脇・小結のこと)以上の対戦と、十両の最後の一番だけに使います。

「片や」の構成

「片」+間投助詞「や」で構成されています。間投助詞は語調を整えたり強調したりする働きをする品詞のことです。

「片」とは

「片」は、音読みでは<ヘン>、訓読みでは<かた・きれ・ひら>などと読みます。「片」には複数の意味がありますが、「片や」の場合は「片割れ・二つあるもののうちの一方」という意味です。

「片や」の使い方

「片や」は「相対するのものひとつ」を指しますが、おもに、相対するものが別の状態にあるときに用いられる言葉です。

たとえば、『ウサギとカメ』の童話であれば、「ウサギはすごい早さで駆けましたが、カメが追いついてこないので昼寝をすることにしました。片や、カメはゆっくりとですが、休まずずっと歩き続けたのです。」のような使い方ですね。

また、「片や」は、「片や~、片や…」と相対するものそれぞれについて付加される場合も多くあります。

「片や」の例文

  • 懇親会でAさんの周りには人が集まっているが、片やBさんに声を掛ける人は一人もいない。
  • 冷房の効いた部屋でも夫は半袖のTシャツを着ていたが、片や妻は上着を羽織っていた。
  • 片や民間出身、片や叩き上げの官僚なので、彼らの意見の衝突はしょっちゅうだった。
  • 捜索隊は二手に分かれ、片や山頂へ向かい、片や川沿いを探し歩いた。

「片や」の類語

「一方」

「一方」<イッポウ>には多くの意味があります。「片や」に類するのは、副詞的に用いられることもある「複数あるもののうちのひとつ」、接続詞の「(関連のある)もうひとつのことについて言うと・話は変わって」という意味です。

「片や」は二つのうちのひとつを表すのに対し、「一方」は二つ以上のうちのひとつを表すという点においては異なります。

【例文】

  • 発芽した状態では同じように見えたが、一方は赤い花、一方は黄色い花を咲かせた。
  • 「えらい」は「優れている・地位が高い」という意味だ。一方、方言では「とても」や「疲れた」という意味で用いられている。

「反面」

「反面」<ハンメン>とは、文字通り、「反対側の面・反対の方面」という意味です。また、副詞的に用いて、「別の一面・他の方から見た面」を指す場合もあります。

「片や」はそれぞれ別の状態にある二つのものを対比する場合に使う場合があるので、「反面」も「片や」に類する言葉と言えるでしょう。

【例文】

  • セキュリティを強固にすると安全性が高くなる反面、手続きが煩雑になる。
  • 見に行ったホラー映画があまり怖くなかったので、ホッとした反面、物足りない感じもした。

「翻って」

「翻って」<ひるがえって>は、「反対に・今までと違う方面から見ると」という意味の副詞です。また、「翻て」はこの別表記です。

「反面」が「片や」に類するのと同様の理由で、「翻って」も「片や」に似ています。

【例文】

  • 大雑把に言えば、野生動物とは勝手に捕ってはいけない動物、翻って、家畜とは野に放ってはいけない動物のことだ。
  • 今回のプロジェクトは難題続きだったが、翻って考えるとメンバーの技術の底上げが出来て良かった。

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