「テンパる」の意味
「テンパる」は、自分自身や他人の感情や様子を表す言葉です。意味は以下の3つですが、現在では3の意味で用いられることがほとんどです。
- 準備万端である
- 物事が出来上がる寸前の状態。願いが成就(じょうじゅ)しそうな状態
- 余裕がない。焦りや不安で手一杯の状態
「テンパる」の使い方
「テンパる」は、普段と比べて冷静ではいられない様子に使います。何らかの原因で緊張していて、身振りや手振りや話し方、行動の仕方にどことなく余裕のなさが感じられておかしいことを表せます。
また、うまくやろうとして焦りが生じている様子や、あと少しで成功するのに本当に大丈夫であるか不安になっている気持ちなども表現できます。
「テンパる」の例文
- いきなり大役を任されて、テンパっているのが周囲にバレている。
- 「大勢の前でスピーチする自信がない」とテンパる友人を励ましている。
- かねてから希望していた就職先に決まったのに、緊張して少しテンパり気味になっている。
- 初めて客のところへ営業に行った時に、かなりテンパってしまい何を話したのか覚えていなかった。
「テンパる」の語源
「テンパる」の語源には二つの説がありますが、もともとの言葉は日本語ではありません。外来語の名詞に接尾語の「る」がついて、ラ行変格活用の動詞に変化した言葉です。
語源には、麻雀(マージャン)の用語の「聴牌」(テンパイ)と英語の"temper"がありますが、聴牌説が有力です。
現在「テンパる」は若者を中心に使われていますが、テレビで芸能人が使うことからシニア層にも広がりを見せています。
麻雀用語「聴牌」から
「聴牌」は、あともう一つ牌(パイ)があれば役が成立し、和了(アガリ)になる状態です。和了になると終了して勝ちを収めます。そのプレイヤーは「すでに和了の準備ができている」ことになり、1の意味「準備万端である」はこの状態から来ています。
さらに、あと1つの牌があれば役が出来上がることから、2の「物事が出来上がりそうな状態」になると言えます。勝利を目指すところから「願いが成就しそうな状態」とも言えるわけです。
また、3のようなネガティブな意味ができた理由は、他のプレイヤーとの駆け引きで余裕がなくなるからです。一般的に「聴牌」となった際「立直(リーチ)」と宣言して相手に知らせます。相手に顔色をうかがわれて緊張し、勝ちを焦って不安げな表情になるところから来ています。
英単語”temper”から
"temper"を日本語に訳すと、「短気」「腹立ち」などの怒りの気持ちを表せます。人は怒っていると気持ちに余裕がなかったり、焦りや不安でイライラしていたりしますね。
その心理状態がもとになって「テンパる」に変化し、3の「余裕がない」「焦りや不安で手一杯な状態」を表すのではないかという説です。
「テンパる」のように「名詞+る」で動詞化した語
キョドる・きょどる
「キョドる・きょどる」は、四字熟語「挙動不審」(きょどうふしん)の「きょど」に「る」を組み合わせて動詞化した語です。あることが原因となって言動や仕草がいつもと違う状態になり、周囲からおかしいと思われることです。
【例文】
- 隠し事をしてバレそうになり、言葉に詰まってキョドってしまった。
- かねてから好意を抱いていた人と鉢合わせして、思わずきょどった。
パニクる
「パニクる」は、英単語の”panic”(パニック)に「る」を組み合わせた語です。”panic”は、日本語で「(おもに経済)恐慌」や「混乱・恐怖」という意味です。そこから「パニクる」が、人が慌てふためく状態、恐慌状態になって混乱する様子を言います。
【例文】
- 急にやり直しをしろと言われても、締切は明日だよ。パニクっちゃうよ!
- 抜き打ちでテストをすると言われてパニクった。