「フラジャイル」とは
まず、漫画、TVドラマとして多くの方がご存じの「フラジャイル」について説明します。原作:草水敏・作画:恵三朗による漫画『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』は、2014年に月刊誌への連載がスタートした、医療現場が舞台の物語です。病理医であり変わり者の主人公・岸京一郎の活躍を描いた内容で、2016年にはサブタイトルなしの『フラジャイル』としてTVドラマ化され、TOKIOの長瀬智也さんが主演を務めました。主題歌を歌ったのもTOKIOで、タイトルはそのまま「fragile」でした。
「フラジャイル」の意味
「フラジャイル」は英単語のカタカナ表記で、英語の綴りは”fragile”となります。意味は次の2つになります。
- 壊れやすい。もろい。割れやすい。
- はかない。束の間。
「1. 壊れやすい」はガラスや陶器などの物に対して使いますが、他にも人の体や心、組織、関係性などを表現するときにも使うことができます。
ちなみに英語の発音は「フラジャイル」というより「フラジル」に近い感じです。「ラ」に強いアクセントがきて「ジ」はやや巻き舌で小さく発音すると、英語らしく聞こえるかと思います。普通に「フラジャイル」と言ってしまうと、英語圏の人には通じないかもしれません。
「フラジャイル」が必要なシーン
最初の「F」を大文字で表記すると、運送関係で使う用語となります。日本語で言う「われ物注意」です。海外へ荷物を送るとき、あるいは海外から荷物を送るとき、もし割れ物、壊れやすいものであれば、こうした表示をしておくことが必要になります。
「Fragile!」に「handle with care(取り扱い注意)」や「don't fall(落下厳禁)」あるいは「not pressure(積み上げ禁止)」の文言が併記されたステッカーやテープを荷物に貼り付けます。これらは日本でも通販などで購入が可能です。
「フラジャイル」の語源
英語の「フラジャイル」の語源は、ラテン語です。壊れやすいという意味の”fragilis”からきています。また「フラジャイル」と近い意味の英語で「flail(体・人が体質的に弱い、ひ弱という意味)」という言葉がありますが、語源はやはりラテン語の”fragilis”です。
「フラジャイル」の類語と用例
日常会話の中で「フラジャイル」を使う場面はなかなか思い浮かばないので、英語をベースに解説していきます。
フラジャイルと同じく弱いイメージを表現する言葉が、数多くあります。「frail」「delicate(体がか弱い、虚弱。物が壊れやすい)」「flimzy(物がもろい、壊れやすい)」「thin(か細い、弱い)」「weak(人が弱々しい。物が壊れやすい)」「feeble(体力・知能が弱い)」「faint(体力などが弱々しい)」「puny(小さくて弱々しい)」 「infirm(人・体が弱い)」「brittle(固いがもろい)」などです。
シーンによってはそのままfragileと置き換え可能な場合もありますが、少しずつニュアンスが異なっているので
- brittle and fragile(もろく壊れやすい)
- fragile and thin(壊れやすくきゃしゃ)
- weak and fragile(弱々しく壊れやすい)
といった感じに組み合わせて使う言い回しもあります。
ニュースから
ニュース記事から具体的な使用例を挙げてみます。
- 英サッカー、プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドのベニテス監督が、マンチェスターユナイテッドとの一戦を前にインタビューを受け、今季もうひとつ調子が出ないマンチェスターユナイテッドについて聞かれ、こう答えました。「どんなマンUだってフラジャイルな(崩れやすい)わけがない」
- カンボジアのフン・セン首相は、2018年9月の声明で、「(カンボジアの)平和は、継続的な内政干渉のためにフラジャイル(脆弱)である」と述べました。
いずれも目に見えないものに対して、「壊れやすい」と表現しています。
音楽界の「フラジャイル」
TVドラマと連動したTOKIO「fragile」だけでなく、他にも知っておきたいフラジャイルがあります。
- イエス「fragile(こわれもの)」1971年発表のアルバム。「Roundabout」をはじめ、収録曲が数多くのドラマ、CMのテーマとして使用されました。
- Every Little Thing「fragile」2001年発表のシングル曲。同年、数々の音楽賞を受賞しELTの代表曲となりました。