「胡散臭い」の意味
「胡散臭い」(うさんくさい)は、外見から判断してどことなく怪しく見えること、疑わしい様子であるという意味です。
「胡散」は怪しく思える、疑わしいということです。「臭い」は不快なにおいから派生して疑わしい意味でも使われます。
「臭い」を接尾辞とする場合は、前の単語を受けて「~の様子である」「~のようだ」と推察するように使います。「胡散臭い」の「臭い」はどちらにも解釈できますね。
「胡散臭い」の使い方
「胡散臭い」は、対面した人の外見や振る舞いの仕方などから、どことなく疑わしい感じがする時に使います。
「胡散臭い」が当てはめられる例
例えば、初対面であるのに馴れ馴れしい様子、目つきや話し方がぎこちない感じがする人、人当たりが良いのに目つきが鋭く何かを企んでいるような気がする様子などが「胡散臭い」を当てはめる例として挙げられます。
具体的には、仕事の付き合いなどで、太鼓持ちのようにおもねる人に下心を感じる場合がありますね。羽振りが良い人や有名人と知り合いだと人脈をアピールして、自分の能力などを過剰に自慢している人を見かけることもしばしばです。
このように自分を必要以上に大きく見せてメリットをアピールする人、下心があって相手を利用しようと考えているような人についても、何となく怪しい感じがしますので「胡散臭い」といえるでしょう。
「胡散臭い」例文
- 親しげに接客してもらえるのは良いが、Aさんからは物を買わせようとする胡散臭さを感じる。
- Bさんは親しげに振る舞ってはいるが、どことなく胡散臭い感じがする。
- Cさんは必要以上に相手を持ち上げて契約を結ぼうとするが、かえって胡散臭く思われ敬遠されている。
「胡散臭い」の「胡散」の語源
「胡乱」(うろん)
「胡散臭い」は近世(安土桃山時代や江戸時代)から使われだした言葉です。「胡散臭い」の「胡散」は、「胡乱」(うろん)の読みが変化した説が有力です。
「胡乱」も「疑わしい」という意味です。語源ははっきりしませんが、一説には「胡」の字には「でたらめ」という意味があり、これが「乱(みだれる)」と結合されて「胡乱」になったとも言われています。
「烏盞」(うさん)
他に、「胡散」が天目茶碗(てんもくちゃわん)の「烏盞」(うさん)に由来する説もあります。「烏盞」は、烏(カラス)の濡れた羽のような青みがかった黒い茶碗です。
本当に「烏盞」の茶碗であるかどうか疑わしい、ということから「胡散臭い」と変化したのかもしれません。
「烏盞」は茶道具としても人気があり、献茶(けんちゃ:神仏に献上するお茶、転じて、身分の高い人に点(た)てるお茶)にも使われるほどでした。烏(八咫烏:やたがらす)は神武天皇東征の際に松明を持って導いたといわれ、現在とは違って縁起の良い鳥とされていました。
「胡散臭い」の類語
得体が知れない・得体の知れない
「得体が知れない」「得体の知れない」とは、相手の正体や本当の気持ちが分からずに信用できないということです。相手を疑わしく感じる「胡散臭い」と似ています。なお、「得体」は相手の姿や本質、本音や真意という意味です。
【例文】
- あの人はいつもニコニコしているが、得体の知れない感じがする。
- 彼は腹を割って話そうとしないので、得体が知れない人物と警戒されている。
如何わしい
「如何わしい」(いかがわしい)は、真実であるかどうか疑わしいという意味です。主に人に使う「胡散臭い」と異なり、「如何わしい」は人物だけでなく物事に対しても使えます。また、下品である、道徳上良くないという意味でも用いられます。
【例文】
- 詐欺師のような如何わしい人物で、距離を置こうと思う。
- 博物館にある書画とよく似ているが、如何わしい贋作です。
- 如何わしい本を買ったのが見つかり、親に叱られた。
「きな臭い」
「きな臭い」(きなくさい)は、人の様子、物事について危険で怪しげな雰囲気がするという意味もあり、「胡散臭い」と同じように表せます。
もともとは木や布、火事などの焦げたような臭いがするという意味で、火薬の臭いを感じさせて戦乱などが起こりそうな雰囲気がすることに使いました。
【例文】
- ある会社の株価がきな臭い動きを見せている。
- 一見穏やかな紳士だが、裏社会に通じるきな臭い人物だと評判だ。
- きな臭いと思ったら、近所でゴミを燃やしていた。
- 両国の衝突が絶えず、国境の付近はきな臭い状況だ。