「けしからん」とは?意味や使い方をご紹介

「けしからん」(怪しからん)の意味をご存知でしょうか。今ではあまり使われていないものも含め、いくつかの意味がありますので、中にはあなたのよく知らない使い方もあるかもしれません。この機会に学んでおきましょう。ここでは、「けしからん」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「けしからん」の意味
  2. 「けしからん」の使い方
  3. スラング的な「けしからん」について

「けしからん」の意味

「けしからん」(怪しからん)には、次のように複数の意味があります。

  1. あやしい。異様である。常軌を逸している。
  2. よくない。感心できない。わるい。
  3. 不法である。不都合である。不当である。
  4. はなはだしい。
  5. 並外れている。すごい。

このうち、現代で使われているのは主に1~3の意味であり、常識を外れていることや、道理に外れていて不当な人・ものごとなど、自分にとって不都合なもの全般を「けしからん」と呼びます。

語の構造

「けしからん」は、「けしからぬ」の音が変化した言葉であり、「怪(け)し」+「かり」(~ある)+「ぬ」(打消し)という語の構造です。

「怪し」は、現代で言う「怪しい」に近い意味であり、「普通では違っていて異様で、不審である」という意味です。それが「ぬ」で打ち消されているわけですから、「けしからぬ」は「怪しくない、普通だ」という意味…となりそうですが、実際はそうではありません。

この「ぬ」は、「怪し」を打ち消してはいるものの、それは「怪しくない」という意ではなく、「怪しいどころではない」=「あまりにも、もはや明白に怪しい」と「怪し」を強める作用を持つと考えられています。

「けしからん」の使い方

「けしからん」は、不当で常軌を逸している(と思われる)人のふるまいや物事について、「そんなことをしてはならない、そうあるべきではない」という戒(いまし)めや怒りの気持ちをこめて使います。

何をもって不当とするか、何をもって諫(いさ)めるかは、世間的な「道理」や「常識」といった概念が基準となることがほとんどです。しかし、憤慨(ふんがい)など個人の感情成分が多めに含有されるのが「けしからん」という言葉の特徴です。

そのため、「けしからん」が使われる状況は多くが非難や叱責であり、冷静な事実指摘からは一歩離れた言葉であるといえます。

年配者が若輩者を叱る言葉のイメージ

「けしからん」には、年配者が若輩者に対して使う言葉という典型的なイメージがあります。言葉自体が仰々しいことに加え、ドラマなど創作物で年寄りが奔放な若者を叱責する定型句として頻用されがちなことも原因かもしれません。

常識や礼儀をわきまえぬ若者に、年配者が「まったく最近の若者は」と憤るのは古今東西繰り返されている歴史といえます。一方、若者から見ればそうした年配者は古い因習や価値観に凝り固まった厄介者に見えることも多いでしょう。

このような経緯から、「けしからん」という言葉を使う者には、「頑固おやじ」とでも言うべき典型的なイメージが付いて回ることがありますのでご注意ください。

例文

  • 受験生の身でありながら、夜遅くまで友達と遊び歩いているなんて、けしからんことだ。
  • このところ、AさんとBさんが職場で不倫しているという、けしからん噂が流れている。
  • 年若い少年が金欲しさに起こした犯行に、老人は「実にけしからん出来事だ」と憤慨した。

スラング的な「けしからん」について

「けしからん」という言葉には、一部インターネット上で使用されるスラング的な意味もあります。基本的には一般的意味と同じように「よくない」「感心しない」という意味なのですが、特徴的なのは反語的なニュアンスを持つ点です。

つまり、本音は「いいぞ、もっとやれ」なのですが、わざと真面目くさって、分別をわきまえた年配者であるかのように「これはけしからんな」と反語的に表現することが、一種の様式美としてネットの一部では定着しているのです。

特に、性的話題など情欲を刺激するシーンで使われることが多く、例えば女性に対して「けしからん身体」などと表現した場合は、その身体に情欲を誘われることを意味していると考えて差し支えありません。


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