「賜る」とは?意味や使い方をご紹介

「賜(たまわ)る」という表現を見聞きしたことがあると思います。ふだんの生活ではあまり用いる機会はありませんが、ここぞという場面で必要になるのが「賜る」です。そこで今回は、「賜る」という言葉の意味や使い方をわかりやすくご紹介いたします。

目次

  1. 「賜る」の読みと意味
  2. 謙譲語としての「賜る」
  3. 尊敬語としての「賜る」
  4. 謙譲語「賜る」の用途
  5. その他の「賜る」の用法
  6. 「給わる」との違いは?
  7. 「賜る」のまとめ

「賜る」の読みと意味

「賜る」は「たまわる」と読みます。送りがなは「賜わる」でもと良しとされています。「賜る」の意味は大別すると以下の二つになります。

①「もらう」の謙譲語
②「与える」の尊敬語

それぞれについてご説明します。

謙譲語としての「賜る」

使用機会が圧倒的に多いのが上記①「もらう」の謙譲語としての用法です。目上の人から何かを「もらう」際、その人に対して遜(へりくだ)っていう表現です。

「もらう」は丁寧語でいえば「頂戴する」。謙譲語にすると「賜る」のほかに「いただく」「拝受する」など。「もらう」という行為をおこなうのはこちら側ですから、「もらう」に尊敬語はありません。

具体的な用例を見てみましょう。

謙譲語「賜る」の用例

  • 王様から勲章を賜る
  • 来賓より祝辞を賜る
  • ご指導ご鞭撻を賜りたく存じます

いずれも「賜る」を「もらう」「頂戴する」「いただく」といった意味合いで使っているのがおわかりになると思います。重要なのは、主観人物となるのがその言葉を発する側だという点です。

なお、上記の例でもわかるように、「賜る=もらう」対象物は金銭や物とは限りません。相手からの心配りや言葉、あるいは行為に対しても「賜る」と表現できます。

尊敬語としての「賜る」

続いて②「与える」の尊敬語としての「賜る」について解説します。具体的な用例を見てみましょう。

尊敬語「賜る」の用例

  • 王様勲章を賜る
  • ご出席賜りますようお願いいたします
  • 格別のお引き立てを賜りありがとうございます

こちらの使い方の「賜る」は、「目上の者が目下の者に与える」という意味です。つまり、「与えてくれる」相手を敬って、「お与えになる」「くださる」と表現しているのです。

①の用法とは違い、今度は主観人物が自分ではなく相手になっている点にご注意ください。「勲章を賜る」のは①では自分ですが、②では「王様」なのです。「ご出席」してくれるのも「お引き立て」してくれるのも相手側です。この違いを把握していないと混乱してしまいます。

謙譲語「賜る」の用途

すでにご紹介したとおり、「賜る」は「もらう」のへりくだり表現の意味を持ち、日常生活でも、畏(かしこ)まった場や形式的な挨拶などでよく使われます。

例えば結婚披露宴や受賞パーティー。主催側はお客様にわざわざ来て「もらう」立場ですから、腰を低くして「賜る」という言葉を使うわけです。

なお、同じ意味を持つ謙譲表現でも、「賜る」は「頂戴する」や「いただく」と比べ、よりかしこまったニュアンスを持っています。相手との関係性を考えて、最上の敬意を示したい場合は「賜る」を用いるとよいでしょう。

反面、「賜る」ではあまりに大げさすぎるというシチュエーションもあります。そういう場合に「賜る」というと、いかにも儀礼的な印象や、下手をすると皮肉とも受け取られかねませんので、通常は「いただく」程度で収めておくのがよいかもしれません。それでも謙譲の意味はちゃんと伝わります。

その他の「賜る」の用法

「賜る」という言葉には他にも用法があります。ひとつは「神聖とされる場所を神様の許しを得て通行する」という意味の用法で、日常生活でこの使い方をする機会はほとんどないといってよいでしょう。

もうひとつは、ほかの動詞の連用形、もしくはそこに「て」を付けた用法で、例えば「お褒め賜る」「褒めて賜る」で、それぞれ「褒めていただく」「褒めてくださる」と謙譲・尊敬の両方の意味を表します。しかし古い表現ですし、意味は「いただく」「くださる」と同じです。ただ文法的な使い方が少々違うということです。

「給わる」との違いは?

「賜る(賜わる)」を辞書で引くと、「給わる」という漢字づかいも併記されています。このことからもわかるとおり、「給わる」も「賜る」と同じ意味合いで使用できます。

「賜る」のまとめ

最後にもう一度まとめると、「賜る」の用法のメインは「もらう」の謙譲表現。もうひとつは「与えてくれる」相手に対する尊敬表現となります。

日常会話で使われることはめったにありませんが、改まった席での挨拶をはじめ、ビジネスシーンや礼状、年賀状など、目上の相手に送る文章ではよく使われますから、この機会にしっかり覚えておいて損はないでしょう。


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