「煩悶」の意味とは?
「煩悶」は、もだえ苦しむことを表します。もだえ苦しむの「もだえる」は多義語ですが、ここでは悩み苦しむという意味ですので、「煩悶」は、悩み苦しむことと言い換えることもできます。また、「煩悶する」の形をとれば、サ行変格活用の動詞として使えるのも特徴です。
ただし、名詞であれ動詞であれ、「煩悶」自体は漢語のため相手にやや堅い印象を与えてしまいかねません。柔らかいイメージを好む方には、「悩む」「もだえる」といった和語を使用するのもひとつの手段です。
「悩む」との違いは?
「煩悶する」と「悩む」は似た意味を持っていますが、もちろん違いもあります。それは、「煩悶する」の方が、より大きくて耐え難い苦しみに悩んでいる様子を表していることです。
たとえば、「今日の夕飯のおかずをどうしようか悩む」の「悩む」を「煩悶する」と置き換えるのは一般的ではありません。これは、それほど大きな問題に苦しんでいるわけではないからです。
「煩」の読み方・字義とは?
「煩」は、訓読みで「わずらう」と読み、意味は「悩む」「苦しむ」です。他にも「わずらわす」「わずらわしい」などの読み方があり、それぞれ「面倒をかける」「面倒くさい」といった意味を表します。
「悶」の字義とは?
「悶」の音読みは「モン」、訓読みは「もだえる」で、意味は「苦しみで身をよじる。悩み苦しんだり、嘆き惑ったりすること」というもので、物理的な痛みに苦しんだり、心理的な痛みに苦しんだりすることを表しています
「煩悶」の使い方(例文)
- 自らが犯してしまった罪の重大さに気づき、彼は大いに煩悶した。
- 彼女はけっして許されない相手に恋心を抱き、煩悶の毎日を過ごした。
- 職務を全うすることと住民への憐みの感情との間で煩悶する私であった。
「煩悶」が難しいと思える場合は、「苦しむ」「苦しみ」などに置き換えると意味が取りやすくなります。
「煩悶」の類語とは?
- 苦悶(くもん)…痛みや心配で苦しみもだえること。
- 憤悶(ふんもん)…いきどおり、もだえること。
- 憂悶(ゆうもん)…心配で悩み苦しむこと。
- 悶絶(もんぜつ)…もだえ苦しみ気絶すること。
- 悶々(もんもん)…大いに悩み苦しむこと。こころが晴れないこと。
- 煩慮(はんりょ)…あれこれと思いわずらうこと。
いずれの類語も、「もだえる」や「苦しむ」という意味を含むのが特徴です。ただし、「苦悶」と「悶絶」の二つを用いる際には気をつけましょう。なぜなら、この二つは精神的のみならず肉体的な苦痛に苦しむ場合にも用いられるからです。
類語を用いた例文
- 投与された薬の副作用による痛みに、彼は苦悶の表情を浮かべた。
- 人権を無視したあまりにも不当な扱いを受けたことに我々は憤悶した。
- 子どもたちの将来を憂悶しつつ、村の長はこの世を去っていった。
- 彼が亡くなったという知らせに、彼女は悶絶してしまいそうになった。
- 仕事が上手くいかないことで、彼は悶々とする日々を過ごしてきた。
- 過ぎ去ってしまったことをあれやこれやと煩慮していても仕方あるまい。
「煩悶」を英語で表すと?
「煩悶」の英語訳で代表的なものが、「anguish」です。また、「feel angush」の形で「煩悶する」を表す動詞として使うこともできます。
「煩悶」の英語訳を用いた例文
- My life was full of anguish.(我が人生は、煩悶に満ちていた)
- She felt anguish after her divorce.(彼女は、離婚後に煩悶した)