「符合」とは？意味や使い方をご紹介

「符合」とは、物事がぴったりあうことを意味する名詞です。また、割符（わりふ）がぴったりあうことを表す場合もあります。この「割符が合う」を短縮して「符合」としたのが、この熟語の由来です。（割符については、すぐあとで説明します）

さらに、「～する」を語尾に付ければ、サ行変格活用の動詞として用いることもできます。この場合、「符合する」の表す意味はもちろん、ぴったりあうです。

「割符（わりふ）」とは、木片や紙片などに文字を記し証印を押した上で二つに割ったものをいいます。「わっぷ」「さいふ」と読まれることもありますが、同じものを表していると考えて差し支えありません。

日本では、室町時代に日中間で行われた「勘合貿易」の「勘合符（かんごうふ）」が有名です。「勘合符」は、相手が本物の貿易相手であることを確かめるのに用いられました。

この言葉を構成する漢字の「符」には、いくつかの意味があります。中でもよく使われるのが、「証拠」や守り札、記号を表す意味です。

「符合」には、「ぴったり合う」という意味がありましたね。証拠や、証拠となる木片などが「ぴったり合う」と考えればまさに「証拠が合う」と同義です。

その他では「切符」や「免罪符」といった熟語で用いられているのも、この「証拠」という意味です。

「符合」と同じ「ふごう」という読み方を持った言葉に「符号」が挙げられます。用いる漢字まで共通していることで、混同されがちなのも事実です。

しかしながら、「符合」と「符号」ではまったくといっていいほど表す意味が異なります。なぜならば、「符号」は「＋」や「－」のような記号のことを表すからです。

• 中世の日本と中国との貿易は、割符の符合により貿易相手の確認をしていたという。
• 容疑者の供述と目撃者の証言が符合しているので、事実関係にほぼ相違あるまい。
• 教本の推奨値と実測値が符合しない場合は、どのようにすればよいのでしょうか。

「符合」の使い方のポイントとしては、「ぴったり合う（こと）」に置き換えて考えてみるのがおすすめです。

上の例文のうち、最初は名詞なので、「割符がぴったり合うこと」と置き換えます。二番目と三番目は動詞なので、それぞれ「ぴったり合う」「ぴったり合わない」とすれば良いでしょう。

また、「符合するもの」は、割符のような具体的な存在の場合も少なくありませんが、証言や数値といった抽象的なものでもまったく差し支えありません。

「符合」のように「合」という漢字を含む熟語にはさまざまなものがあります。したがって、それぞれのニュアンスの違いに気をつけて使いこなしていくことが大切です。

【合を含む熟語で、「符合」とニュアンスが似るもの】

• 付合・附合（ふごう）…二つ以上のものをくっつけること。特に、法律用語として「所有者が異なる二以上のものが結合して、壊すか過分な費用を払わなければ分離できない状態にあること」。
• 冥合（みょうごう、めいごう）…知らないうちに一つになること。
• 適合（てきごう）…条件や状況、規格などに当てはまること。

• 私の畑に蒔かれた他人の種が育って実を結んでも、私の畑に付合したものとみなされますよ。（※他人の畑に撒いて育った実が、誰の所有物なのかという話題）
• 私の行く道がすなわち天の意志に重なっていく、これこそまさに天人冥合というものだ。
• 消火器等は当局が定めた安全基準に適合したものを使用していただかないと困ります。

「符号」を英語で表すと、「coincidence」。これは、考え方や意見が符合することを表したものです。

また、「符合する」の意味で動詞として用いる際には、「coincide」を用います。いずれにしても、これらには「偶然一致する」というニュアンスがありますので、心に留めておくとよいでしょう。

• I think it was an amazing coincidence.（それは驚くべき符合だったと思うよ。）
• His interest coincides with yours.（彼の興味は、君のと符合するんだ。）