「かかずらう」とは?
「かかずらう」は、漢字で「係う」もしくは「拘う」と表記します。「かかずらう」は日常会話でも文章でも頻繁に使われるとは言い難い言葉です。平仮名表記では意味がピンとこないかもしれませんが、漢字を見ればイメージも湧きやすいことでしょう。
「かかずらう」には、大きく分けて4つの意味があります。下記の①と②は、現代日本語で用いられている意味です。
①厄介なことに関わりを持つ、つながりを持つ、関係する。②つまらないささいなことに拘る、思いや考えが対象とするものにひっかかって離れることができなくなる、拘泥する。
次の③と④は昔の用法で、今は用いられていません。③仕事に従事する。④現世につながれ、生きながらえる。
「かかずらわる」について
「かかずらわる」という言葉があります。「かかずらう」とよく似ていますが、意味もまったく同じです。どちらも標準語として扱われますので、馴染みやすいほうを選択すればよいでしょう。
「かかずらう」の使い方
「かかずらう」の2つの意味がともに「厄介なこと」「ささいなつまらないこと」を対象としていることからもわかるように、使うときはネガティブなニュアンスがあることに留意しましょう。
「あなたの仕事にかかずらって、とても幸せでした」という使い方はありえない、ということです。「あなたの仕事にかかずらって、疲労困憊しましたよ」という文脈なら、自然な使い方です。
こだわってしまう、という意味で使う場合も同じく、それが有益ではないこと、無駄に近いこと、というニュアンスがあります。
したがって、他者との関わりにおいて「かかずらう」を用いるときは、失礼に当たらないか、正しい意味で使えているのか、細心の注意を払う必要があります。
「かかずらう」の文例
- 火災現場をたまたま通りかかった時にライターを手にしていたため、取り調べを受けることになった。厄介なことにかかずらってしまったものだ。
- 君の夫婦喧嘩にかかずらって君のバー通いをかばっていたら、僕と嫁さんの間まで雲行きが怪しくなってしまったよ。
- 僕には、はたから見ればつまらないことばかりにかかずらう傾向があるみたいだ。
「かかずらう」の類語
「関わる(係わる)」の意味と使い方
「関わる」も「係る」も、(かかわる)と読みます。どちらも同じ使われ方です。意味は、対象とつながりを持つ、関係をもつ、携わっている、など。
「関わる」「係わる」においては、「かかずらう」に含まれる、「つまらないこと」「厄介なこと」などを対象とするネガティブなニュアンスはありません。また、「こだわる」という意味はもちません。
「かかずらう」と正確に類似した表現にしたい場合は、「つまらないことに関わる」などネガティブな意味をもつ言葉で補って使用しましょう。
文例:クレーマーへの対処という、客との厄介な関わりはもうこりごりだ。
「執着する」の意味と使い方
「執着する」は、(しゅうちゃくする)と読みます。ある物事にとらわれ、強く心がひかれて離れられないこと、強いこだわりをもつこと、を意味する言葉です。
「かかずらう」のような「関わりをもつ」という意味はありません。「こだわりをもつ」という意味においての類語たりえますが、「ささいなこと、つまらないこと」にこだわる、という意味はありません。
「かかずらう」の正確な類似表現として用いる場合は、「ささいなことに執着する」など、補って表現しましょう。
文例:恋人が自分をどのように大切に思ってくれているか、ささいなことまで執着する癖は手放したいと思っているの。
「拘泥する」の意味と使い方
「拘泥する」は、(こうでいする)と読みます。必要以上にこだわり、気にすることを意味します。やはり、ささいなことへのこだわり、という意味は持ちません。
文例:マンションを買いたいのだけれど、風水に拘泥しすぎて、どの物件にも満足できないんだ。