「嘯く」の意味
「嘯く」(うそぶ-く)の意味は、以下の通りです。
- (口をすぼめて強く息を吐く動作より)獣が大きな声でほえる、鳥が鳴く
- 知らない振りをする、とぼける
- 大げさに言う・平然と言ってのける
- 詩や歌を吟じる、口ずさむ
「嘯く」の語源
「嘯く」は「嘯(うそ)を吹く」が由来です。「嘯」とは「嘘」のことではなく、口をすぼめて(小さく縮めて)声を出すこと、つまり口笛の意味です。
鳩などの鳥を呼ぶ時に口笛を吹いたところから「嘯く」が成立したと考えられています。そして、同じような口の動きをするところから吠える、吟じるなどの意味が派生したということです。
なお、「とぼける、大げさなことを言う」など、「嘘をつく」に似た意味ができた理由は、以下のような説が考えられています。
- 口笛の音色が鳥の「ウソ(鷽)」の鳴き声に似ていたから
- 口笛は本当の鳥の鳴き声ではないから
- 都合が悪いことをごまかす時に口笛を吹く仕草をするから
「嘯く」の使い方
「嘯く」は、現在では主に2のとぼける、3の大げさなことを言うといった意味で使われます。これらが結果的に「嘘をつく」ことに繋がる場合もあるでしょう。
主に本当は知っているくせに知らない振りをする、面倒なことに関わりたくないような人の様子、見て見ぬ振りをして打算的に欺くような性格を表す場合に「嘯く」が用いられます。「空嘯く」(そらうそぶ-く)という場合もありますね。
大げさなことを言う際に嘘をつくつもりでなくても、話をするのが楽しくて取るに足らないことを大きく言ってしまう場合があります。また、成功するためにわざと大きい口を叩いて自分を鼓舞する人も「嘯く」といえるでしょう。
「嘯く」を使った例文
【吠える・口ずさむ】
- 月に向かって嘯く狼男。
- 流行歌の一節を小さく嘯く。
【とぼける】
- あなたは人が困っているのを見ていたくせに嘯いて逃げたね。
- 彼は自分は無関係だと空嘯き、友人に濡れ衣を着せた。
【大げさに言う】
- 両手からはみ出るくらい巨大なハムスターだと嘯いていたけれど、彼の話は大げさなんだよ。
- 確かに彼女は小さい頃から世界で一番の歌手になると嘯いていたよ。本当に世界的なソプラノ歌手になってびっくりした。
「嘯く」:「とぼける」意味での類語
しらばくれる・しらばっくれる
「しらばくれる(しらばっくれる)」は、知っているのに知らない振りをする様子をいいます。とぼける意味での「嘯く」と同じように使えるでしょう。
【例文】
- 「しらばっくれたって、この桜吹雪がお見通しだよ!」とお奉行様が桜の入れ墨を見せると、遊び人の金さんと同一人物だと分かり大抵の悪者は観念するようだ。
- のらりくらりとしらばくれても、あなたのやったことは皆に知られているよ。
白々しい
「白々しい」(しらじら-しい)は、本当は知っていながら知らないふりをしてごまかすこと、明白に嘘であることが分かること、本音ではないのが見え透いている様子などを表す語です。
【例文】
- 本当は私が嫌がらせされていたのを知っていたはずなのに、白々しい人ね。
- ドレスが似合っていて素敵なんて、白々しい嘘をつかないで。
- 白々しいお世辞なんか言っちゃって。そんなこと思ってもみないくせに!
「嘯く」:「大げさに言う」意味での類語
大言壮語
「大言壮語」(たいげんそうご)は、できそうもないことや途方も無いことを威勢よく言い放つことを表す四字熟語です。実際にできる能力がないのに大げさなことを言うといったニュアンスで使われます。
【例文】
- 将来王様になるなんて、大言壮語も大概にしろ!
- 叶いそうにない夢でも、大言壮語していると実現することもあるそうだね。
大風呂敷を広げる
「大風呂敷を広げる」(おおぶろしきをひろげる)とは、実現しそうもないくせに大ぼらを吹くことです。ありえない大げさなことを言ったり、無謀な計画を立てたりする時にも使います。大きな風呂敷を広げてみても、中に包める物がないことから由来している成句です。
【例文】
- 夢を実現させると大風呂敷を広げてはみたものの、結局うまく行かなかった。
- 会社を設立する計画を話したら、大風呂敷を広げるのは危険だと忠告された。