「ブースト」とは？意味や使い方をご紹介

「ブースト」とは、英単語「boost」に由来する言葉で、「押し上げる、増やす、強化する、増強する」という意味です。

何もないところにエネルギーを発生させるというよりも、既に存在するエネルギーに対して追加のエネルギーを「加算する」「積み上げる」というニュアンスを持つことが「ブースト」の特徴です。

また、そのようなエネルギーをもたらすものを「ブースター」（booster）と呼びます。

• 今夜は仕事が立て込んでいる。栄養剤を飲んで、体力と気力をブーストしよう。
• このマシンには、一時的に高い電圧をかけて処理効率を高めるブースト機能がついている。

音楽・音響・楽器などの世界で「ブースト」と言った場合、「アンプ」（アンプリファイヤー、amplifier）などの増幅器を使って「音響を表す電気信号を増幅すること」を指します。

レコード、CD、あるいはデジタル機器上に保存された音楽は、基本的にはすべて電気信号に変換されて音が記録されています。しかし記録物そのものの電気信号は微小であり、「信号を読み取ってスピーカーで聞く」だけではあまり大きな音を出すことができません。

そこで、何らかの手段で信号を増幅（ブースト）することで、ある程度の音量での音楽鑑賞が可能となるわけです。いわゆる拡声器（メガホン）のようなもの、と考えても良いでしょう。

電気信号をブーストする手段としては、現代では小型化と高性能化が進んだIC（集積回路）が一般的です。少し時代をさかのぼればトランジスタ、それより前は真空管が使われていました。

しかし、音楽鑑賞を趣味とするユーザーの中では、単純な増幅率や、装置の小型化といった利便性よりも「音の質、聞こえ方」を追求し、「真空管アンプ」（真空管ブースター）にこだわるような方もいます。

「ブースト」は信号を増幅して「全体の音量を上げる」という意味の他に、「特定の音域（高音・低音など）の音量を上げる」という意味もあります。

一般的な電子的音響機器はアンプによって「ブースト」されているのが当たり前であるため、どちらかといえばこちらの意味で「ブースト」と聞くことのほうが多いかもしれません。

「ブースト」と反対に、特定音域の音量を下げることを「カット」（cut）と言います。

「スマートフォン」（スマホ）及びそれに関連する電子機器の世界でも、「ブースト」という言葉が使われることがあります。その意味は、「不要なメモリを解放するなどして最適化を図り、動作性の向上を図ること」です。

スマホを長く使っていると、一時的なファイルなどが蓄積してメモリを占有し、動作が遅くなってしまうことがあります。これをうまく解消できれば、動作がまるで増幅されたように速くなるため、「ブースト」と呼ばれるわけです。

ただし、スマホは複雑な仕組みによって動く精密機械であり、いわゆる「ブースター」と呼ばれるようなアプリや機能が、常に動作性改善のために有効的に作用するとは限りません。

自動車業界で「ブースト」と言った場合、基本的にはエンジンの処理効率を高めてスピードアップを図ることを指します。「ブーストアップ」とも言います。

一般的な市販車では、燃費性能の追求や安全設計や製品寿命の向上のためにエンジン出力を適切に制御しており、設計上の最大出力をいつでも出せるわけではありません（長い目で見るとそのほうが利便性が高いからです）。

しかし、例えば「ターボ」（過給機）を搭載している車種では、空気の圧縮率を高めて燃料の燃焼効率を高めることで、燃費効率や操作性の低下と引き換えに一時的なエンジンパワーの増幅を図ることができます。これが「ブースト」です。

ゲームにおいても、ジャンルを問わず幅広く「ブースト」という言葉が使われており、基本的には「一時的な能力の増幅」を意味します。

例えば、アイテムやスキルを使うなどして一定時間のみ攻撃力アップを図ったり、足が速くなったりすることが「ブースト」にあたります。ダメージの回復は「ブースト」とは異なりますが、「一定時間体力が回復する」状態は「ブースト」と呼ばれることもあります。

ゲームによって「ブースト」に値する概念は異なりますが、ゲーム愛好者の中では「一時的な能力増幅」を表す用語として広く知られている言葉です。