「オマージュ」とは？意味や使い方をご紹介

「オマージュ」は、フランス語の「hommage」をカタカナ読みしたものです。原語の「hommage」は、敬意、尊敬、賛辞、挨拶などさまざまな意味があります。

日本語の「オマージュ」は、敬意、尊敬、賛辞、献辞という意味です。しかし、一般的には、「影響を受けた芸術家・作曲家・作家などに捧げる敬意や尊敬、称賛」、「その敬意や称賛を表した作品」を指します。

オマージュは元の作品にモチーフを求めてつくるため、オリジナルと似ている表現や表象をしているとは限りません。一方、元の作品と似ていても敬意や称賛が感じられないもの、単なる引用で独自の表現がない作品は、オマージュとしては扱われないです。

• ショパンにオマージュを捧げた曲が、彼の代表作となった。
• 『スターウォーズ』は、黒澤明作品のオマージュと言われている映画だ。
• オマージュ小説を読み面白かったので、未読である元の小説も読みたくなった。
• 料理フェスティバルに出した料理は、故人となった有名シェフへのオマージュだった。

さまざまな分野でオマージュとして作品がつくられています。オマージュとして扱われている有名な作品とオリジナル作品をいくつか紹介しましょう。

オマージュと似たような意味で使われる言葉が、いくつかあります。オマージュの意味は好感がもてるのに対し、逆の意味合いで使われる言葉もあり、違いを知ることは大切です。

「リスペクト」とは、敬意や尊敬、また、その敬意や尊敬を表すこと、尊重という意味です。名詞として使うだけでなく、「リスペクトする」と動詞として使う場合があります。オマージュと意味が比較的似ています。

「トリビュート」とは、あるアーティストやバンド、作家などへ尊敬・称賛・感謝などのあかしとして作られるものや、その演奏やパフォーマンスをする人という意味です。

主に音楽の分野で使われる言葉で、トリビュートアルバムやトリビュート作品、トリビュートバンドなどのように用いられます。

「パロディ」は、衆知の作品の構成や文体などの特徴が分かるように残したまま、滑稽・揶揄・諷刺などを目的につくり変えた作品を指します。

以前は文学の分野だけが対象でしたが、今は演劇・音楽・絵画・写真などさまざまな分野でみられます。たとえば、東郷隆の小説『定吉七番』は、小説や映画の『007』シリーズのパロディ作品です。

「風刺（諷刺）」は、他の事柄にかこつけて、遠まわしに社会や人物の欠点や愚かしさなどを批判・非難すること、また、それらの批判を嘲笑的に表現すること、あてこすることを言います。

絵画、イラスト、文章、映像、演劇などの手段を使い、間接的に皮肉やユーモアを交えて伝えることが多々あります。風刺作品として有名なのは、ジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』、芥川龍之介の『河童』などです。

「パクリ」は、他人のアイディアや表現などを無断で借用すること・盗用すること・盗品という意味です。元となった作品があるにもかかわらず、「オリジナルです」と嘘をつくことになりますから、この行為は非難の対象になり得ます。

また、多くの場合、「パクリ」は「盗作」と同じような意味で用いられます。「盗作」とは、他人の作品の全部または一部を自分のものとして無断で借用することや、その作品のことです。

映画や小説などで、オマージュと分かるように「～に捧げる」と明記されていることがあります。明記されていなくても、隠したい思惑があるパクリと違い、オマージュなら元の作品を堂々と言えるのがポイントです。

一方、オマージュとしてつくられた作品でも、それをオマージュと思うかどうかは受けての感じ方によるので、盗作と思われる場合があるのも否めません。オマージュかオマージュでないかの判断は、人それぞれの主観によるところが大きいことは、留意しておくと良いでしょう。