「ちぃおぼえた」の意味
「ちぃおぼえた」とは、漫画『ちょびっツ(chobits)』に登場するメインキャラクター「ちぃ」の口癖であり、その意味は「わたし、覚えた」です。
「ちぃ」とはキャラクター名であると同時にそのキャラクター自身の一人称であるため、「ちぃ」=「わたし」に相当するわけですね。
なお「ちぃ」の発音は「い」の音を明確に発音するというよりは「ちー」に近い形です。短く舌打ちするような音とは異なりますのでご注意ください。
表記ゆれ
「ちぃおぼえた」は、表記上「ちぃ、おぼえた」「ちぃ覚えた」などの表記ゆれがしばしばみられます。
基本的にはどれを使っても意味は通じますが、「ちぃ」は固有名詞ですので原型を保つべきです。
「ちぃおぼえた」の使い方
「ちぃおぼえた」は、キャラクター「ちぃ」の口癖を直接言い表す以外では、スラング的に「(教えてもらったことを)わたし、覚えた」という意味で使われることがあります。
自分のことを自分の名で呼ぶ子どもめいたイメージに加え、元ネタの「ちぃ」が無知・無垢・幼稚を具現化したようなロボット(正確にはパソコン)のキャラクターであるため、「ちぃおぼえた」もそのようなイメージに重ねて使用するのが基本です。
特に、誰でも知っているような常識的内容を諭(さと)されたときや、笑うべき内容、皮肉的な内容を伝えられたときに、「初めて知った(ふりをする)」「変なことを疑いもなく学習した」というニュアンスで使うのが良いでしょう。
注意点①かなり「あざとい」イメージ
「ちぃおぼえた」は、元が漫画キャラクターのセリフであること、また原作をよく知らないとしても「幼稚さ」「小さな女の子」を匂わせるスラングであることから、日常で使うにはかなり「あざとい」イメージです。
元ネタを共有できている友人同士や、ネット上の掲示板やSNS上のような「相手の年齢や性別がわからないのが当然」の文化において、ジョークの一種として使用するのを原則と考えましょう。
注意点②少々「古い」イメージ
漫画『ちょびっツ』が連載されていたのは2000年代初頭のことであるため、現代において同作品由来の「ちぃおぼえた」というセリフを使うと、少々古めかしいイメージです。
当時の『ちょびっツ』の読者層・ファンが中高生であったと仮定すると、2020年現在、彼らは30歳を超えていることが容易に推測されます。
そのため、SNS上などで「ちぃおぼえた」と発言すると、「古い」という印象を与えるだけではなく、いわゆる「年代バレ(年齢が露見してしまう)」のリスクを抱える可能性もありますので十分にご注意ください。
例文
- へえ、信号の「赤」って「止まれ」の意味なんだ。ちぃおぼえた!
- ウイルスは生物じゃないって初めて知ったよ。もう忘れない。ちぃおぼえた。
- 「男はな、酔うと空を飛んだりするんだよ」「ちぃおぼえた」(※明らかに間違った知識を子どものように真に受けている、というノリ)
「ちぃおぼえた」の元ネタ
『ちょびっツ』
CLAMP(クランプ)原作の漫画作品『ちょびっツ』は、週刊ヤングマガジンにて2000年から2002年まで連載され、原作の完結と前後して2002年にはアニメ化もされるなど人気を博しました。
機械は(プログラムされたものではない)真の感情を持つかどうか、人間を愛せるのかというSF的なテーマに切り込んだ作品でありつつ、ボーイミーツガールや美少女ものとしての属性を併せもっていたこの作品は、若者を中心に広く支持されました。
作品のあらすじと「ちぃおぼえた」
人型の情報端末が家電として普及している世界において、浪人生の主人公はごみ捨て場で拾う美少女型の「パソコン」を拾います。身動きする他には何もできず「ちぃ」としか答えられない彼女に、主人公は「ちぃ」と名前を付けました。
当初は人間で言う幼児に等しい精神性であったため、「ちぃ」にとっては何もかもが初めての知識・体験であり、主人公やその他登場人物との交流を通じて、言葉・感情・常識などを身につけていきます。その際に幾度か発せられるのが「ちぃおぼえた」です。
「ちぃおぼえた」は、「ちぃ」(ならびに、この世に生まれたばかりの機械たち)の穢れのない無垢性や素直さを象徴すると同時に、それを聞く者の庇護欲を喚起するセリフであるといえるでしょう。