アネモネとは
英名を「anemone」、和名を「ボタンイチゲ(牡丹一華)」といい、「ハナイチゲ(花一華)」、「ベニバナオキナグサ(紅花翁草)」ともいわれています。また、ギリシャ語の「風」(ánemos)が名前の由来で、英語には、「windflower(風の花)」の別名があります。
キンポウゲ科・イチリンソウ属(アネモネ属)の多年草で、花形も一重や八重などあり、100種類以上の品種が栽培されています。春に花が咲き、夏前に枯れて、秋に球根を植え付けるのが一般的です。寒さに強く、原産地はヨーロッパの南部から地中海沿岸です。
アネモネは、花びらがなく、そう思われがちな萼片(がくへん)が色づいたものを観賞し、赤、白、青、紫、ピンク色などがあります。また、アルメニアの国花です。
アネモネの花言葉
アネモネには、いろいろな花言葉があり、大別してご紹介しましょう。
アネモネ全般の花言葉
明るいイメージのものから、暗いイメージのものまであります。前者は、「清純無垢」「無邪気」、「可能性」、「期待」、後者は、「はかない恋」、「恋の苦しみ」、「見捨てられた」、「見放された」、「薄れゆく希望」です。
また、西洋の花言葉は、「anticipation(期待)」、「forsaken(見捨てられた、見放された)」になります。
アネモネの色による花言葉
アネモネの花言葉を色別でみてみましょう。
赤のアネモネ
「君を愛す」
白のアネモネ
「真実」、「真心」、「期待」、「希望」
青のアネモネ
「堅い誓い」
紫のアネモネ
「あなたを信じて待つ」、「信じて従う」、「悲しみ」
ピンクのアネモネ
「待ち望む」、「待望」
アネモネの花言葉の由来
古くから人とのかかわりが深く、神話や伝説にも多く登場しているアネモネですが、アネモネの花言葉も、ギリシャ神話などに由来があります。そのいくつかを、ご紹介しましょう。
アフロディーテとアドニス
愛と美の女神アフロディーテは、キューピッドが放った愛の矢が刺さったことで、美少年アドニスに恋をします。それを知った恋人の軍人アレスは、アドニスがイノシシ狩りに行った際、イノシシに変身し、アドニスを襲い殺してしまいます。そのアドニスから流れた血、またはアフロディーテが流した涙が、アネモネに姿を変えたといわれています。
(ほかに、流れた血が赤いアネモネの花になり、流した涙が花の中央を白く染めたという説もあります)
ゼピュロスとアネモネ
花の女神フローラと夫婦である風の神ゼピュロスは、フローラの侍女のアネモネに恋をします。そのことでフローラは嫉妬し、アネモネを追放してしまいます。ゼピュロスは、アネモネを忘れることができず、また花のニンフとしての力をなくしたことも不憫に思い、そばにおけるよう、アネモネを花の姿に変えたといわれています。
神話をみると、改めてアネモネがもつ花言葉に納得しますね。
アネモネの用途
アネモネは、初心者でも育てやすい、開花期が比較的長い、耐寒性が強いと、すばらしい特徴をそなえています。庭や鉢植えなどで育てたアネモネを、そのまま観賞するのもいいですし、また、春の代表的な切り花としても、花屋などで扱われています。
色が豊富なうえ、大輪で、見た目が印象的な花でもあり、花束はもちろんのこと、フラワーアレンジメントやフラワーボックスとしても、活用されています。アネモネを人へのプレゼントとして使うときには、色ばかりでなく、花言葉も念頭において選んでみるのもいいでしょう。