「撫子」とは?
「撫子」の意味
「撫子(なでしこ)」には次のような意味があります。
- ナデシコ科ナデシコ属のの植物の総称、または、カワラナデシコ(学名:Dianthus superbusL. var. longicalycinus)の異名で、別表記では「瞿麦」。
- 撫でるように可愛がっている子。愛しい子。歌などで植物の「ナデシコ」と掛詞にすることが多い。
「撫子」の花に由来する意味
「撫子」という言葉には、花の色や形から、次のような意味もあります。
- 襲(かさね)の色目の名称のひとつ。「襲の色目」とは、平安時代以降の衣服の表地と裏地、または衣服を重ねるときの色の組み合わせのことです。「撫子」は表地は紅梅、裏地は青ですが、一説には、表裏ともに紅色と言われています。夏に用いる色目で、別名は「なでしこがさね」。
- ナデシコの花と葉を取り合わせて図案化した紋所の名称。
「大和撫子」とは?
「大和撫子(やまとなでしこ)」とは、日本産の「撫子」を中国産の「唐撫子(からなでしこ)」と区別するための別名であり、また、「日本女性の清楚な美しさをたたえる」言葉です。
「撫子」の種類
ナデシコ科の植物
日本で自生しているのは「河原撫子(カワラナデシコ)」ですが、撫子は、世界中に分布しており、古くから品種改良が加えられてきました。現在では300種を超える品種があり、カーネーションやカスミソウもナデシコ科の植物です。
- 英名:Dianths、Gillyflower
- 学名:Dianthus superbus
- 原産:アジア、ヨーロッパ、北米、アフリカ
多くは多年草で、草丈は50cmほど。葉は線形状で、のピンク、白、赤といった色合いの小さな花が房状に咲きます(スプレー咲き)。花弁の形は、糸状のタイプや、先端に細かい切れ込みが入っているタイプなど様々です。
「河原撫子(カワラナデシコ)」
カワラナデシコは、日本にも自生している種類で、様々な園芸用の品種も開発されています。花弁の先は細かい刻みがあり、繊細さを漂わせる花です。
開花時期が夏から秋であることから「常夏(とこなつ)」の別名もあります。夏の季語で、秋の七草の一つにも数えられる、日本人にとって古くから馴染みのある花と言えます。
カワラナデシコは、漢方では「瞿麦(くばく)」と呼ばれています。中国では開花中の地上部を、日本では種子を乾燥させて使い、利尿、心臓抑制、腸蠕動興奮作用などの効能があります。
花びらが繊細なカワラナデシコ。繊細で、でも可愛らしく。#カワラナデシコ pic.twitter.com/4MOzaNBm7L
— 野の花 司/茶房 野の花 (@nonohanatsukasa) June 9, 2018
科・属名 | ナデシコ科ナデシコ属 |
学名 | Dianthus superbus var.longicalycinus |
英語名 | fringed pink |
原産地 | 東アジア |
花の色 | ピンク、白、赤、紫 |
開花時期 | 5〜10月 |
誕生花 | 7月14日 |
「美女撫子(ビジョナデシコ)」
ビジョナデシコは耐寒性の多年草ですが、暑さに弱いので一年草として扱われます。直径2〜3cmの花が固まって咲き、一つのまとまりの中で複数の色の花を咲かせる種類や、単色咲きの種類もあります。
繊細なカワラナデシコと違って艶やかな花をつけるので、日本に渡来した時に「撫子のなかでも美女」と称されて「ビジョナデシコ」の名前がつきました。
一方で、花と花との間にある細長い苞(ほう・花の根元につく小さい葉)がヒゲのように見えるところから「ヒゲナデシコ」の別名もあります。
うちは美女揃い❣️
— あさひ (@sunrise8827) May 24, 2018
美人さん達…②
「美女撫子」さん。 pic.twitter.com/d4XlpVgtwb
科・属名 | ナデシコ科ナデシコ属 |
学名 | Dianthus barbatus |
英語名 | Sweet William |
原産地 | ヨーロッパ |
花の色 | ピンク、白、赤、オレンジ、紫 |
開花時期 | 4〜5月 |
誕生花 | 4月25日 |
「虫取撫子(ムシトリナデシコ)」
ムシトリナデシコは、耐寒性の一年草で、「ハエトリナデシコ」の別名もありますが、食虫植物ではありません。茎の上部の隙間から分泌される粘液で小さな虫を捕らえることからこの名前がつきました。
5~6月あちこちに咲いています
— hiron (@mizhuzxn) March 16, 2019
ムシトリナデシコ💕😘
学名 Silene armeria
英名 Sweet William Catchfly
ナデシコ科マンテマ属
花期 5~6梅雨
(‘18/6/28撮影) pic.twitter.com/XSERS5EdOw
科・属名 | ナデシコ科マンテマ属 |
学名 | Silene armeria |
英語名 | Sweet William Catchfly |
原産地 | ヨーロッパ |
花の色 | ピンク |
開花時期 | 5〜6月 |
誕生花 | 4月22日 |
「撫子」の花言葉
「撫子」の全般の花言葉は、「純愛」、「貞節」で、淡紅色の花弁の先が細く裂けている繊細で女性的な花の様子に由来すると言われています。
また、西洋での花言葉は「boldness(大胆)」で、これは西洋の撫子の花の鮮やかな赤色に由来しているそうです。また、花の色別の花言葉は次のようになっています。
- ピンク色の撫子:「純粋な愛(pure love)」
- 赤色で八重咲きの撫子:「純粋で燃えるような愛(pure and ardent love)」
- 白色の撫子:「器用(ingeniousness)」「才能(talent)」