「箝口令」とは
「箝口令」<かんこうれい>とは、「箝口」と「令」の2語が合わさってできている言葉です。「箝口」は、口をつぐむこと・他人に口をつぐませることを、「令」は命令を指しています。ですから、「箝口令」とは、ある物事についての発言を禁止することです。
「箝口令」の別表記
「箝口令」は、「鉗口令」や「緘口令」と表記されることもあります。「箝」や「鉗」には、物を挟む・首枷・口をつぐむなどの意味があります。また、「緘」は、閉じる・封をする・閉じ縄・手紙などを表す漢字です。
「箝口令」に拘束力はあるか?
「令」という漢字には、上位者からの指示・決まりごとといった意味があります。よって、会社やプロジェクトであれば、「口外するな」という業務命令だと考えていいでしょう。
どの程度の拘束力があるかは、それぞれの守秘義務や秘密保持契約などにも拠るところです。しかし、箝口令を破ったことで何かしらの損害を出した場合には、賠償や懲戒などのペナルティがあるかもしれません。
「箝口令」の使い方
「箝口令」は「箝口令を敷く[布く]」という言い回しでよく用いられます。この場合の「敷く・布く」<しく>とは、命令などを発布するという意味です。
【例文】
- この件についての報道には厳重な箝口令が敷かれていた。
- 本件については皆、口が重いのだが、箝口令が出されているのだろうか。
- 事件の情報を探ろうとするものは多かったが、彼らは忠実に箝口令を守っていた。
「箝口令」の類語
「箝口令」を簡単に言うならば、「ここだけの話にしてください」「内緒にしてください」という口止めです。これに近い意味を持つ言葉には、次のようなものがあります。
他言無用
「他言無用」<たげんむよう・たごんむよう>とは、平らかに言えば、「他の人には内緒にしてください」という意味です。内密な話題に対して、「この件は他言無用に願います」のように用いられます。
オフレコ
映画やドラマなどの取り調べやインタビューの場面で、「テープ止めてください」と録音や録画などによる記録を停止させてから、内緒話をすることがありますね。
このように、公的な記録に残さない、公表しないことを、英語で'off-the-record'と言います。「オフレコ」はこれを略したカタカナ語です。「今から話すことはオフレコにしてください」と言われた場合は、「ここだけの話」にしておかなくてはいけません。
部外秘・社外秘
「部外秘」<ぶがいひ>や「社外秘」<しゃがいひ>は、ビジネスの現場でもよく使われる言葉ですね。資料などにスタンプが押されていたり、注意書きがあることもあります。
「部外秘」は、部外者には漏らしてはいけません、「社外秘」は、社外の人に知られてはいけませんという意味です。「ここだけの話」の「ここ」の範囲を具体的に示した言葉と考えればいいでしょう。
「箝口令」の関連語
禁句
受験生の前で言う「滑る」「落ちる」など、結婚式の席での「別れる」「終わる」などの言葉を避けますね。「禁句」<きんく>とは、このように、他の人を不快にさせる言葉や話題を指す言葉です。
また、「禁句」には、俳諧や和歌において使ってはいけない語句という意味もあります。
放送禁止用語
テレビやラジオなどで使用を禁止している言葉を「放送禁止用語」と言います。「放送禁止用語」は、一部を除き、ほとんどはテレビ局やラジオ局などによる自主規制です。そういった点を考慮すれば、「放送禁止用語」は、放送における禁句と言えるでしょう。
言論統制
「言論統制」<げんろんとうせい>とは、公的な権力が検閲などによって言論の自由や表現の自由を制限することです。「言論統制」は国家が発布するものであり、法的な拘束力がある点で、「箝口令」とは大きく異なります。
言論統制では、おもに新聞や書籍、ラジオ、テレビといったマスメディアが規制を受けます。しかし、場合によって、集会やデモや演劇、さらには個人的な会話にまで規制が及ぶのです。