「形容しがたい」とは
「形容しがたい」とは、物事や人物の有様や状態を、言葉や他の物にたとえて表現することが難しいというときに使われる言い回しです。状況や、現象・体験などを言葉で言い表すことが難しいというときに使われます。
「形容」の意味
「形容」には次のような意味があります。
- 事物のかたち。ありさま。形状。
- 人のなりかたち。容姿。容貌。
- 事物のかたち、有様を他の言葉やたとえを使って言い表すこと。
日本語の品詞には、「形容詞」や「形容動詞」が、文法上の用語としては、「形容句」などがあります。
- 「形容詞」:事物の性質・状態を時間的な持続性の属性に着目して表す活用のある自立語。口語では「美しい」「速い」「赤い帽子」などの様に、終止刑が「~い」で終わる言葉。
- 「形容動詞」:「形容詞」と同様に事物の性質・状態を表す活用のある自立語。口語では「きれいだ」「にぎやかだ」「便利だ」など、終止刑が「~だ」で終わる言葉。
- 「形容句」:いくつかの語が集まり、体言を修飾するなど「形容詞」と同じ働きをする句。文法上、形容詞的修飾語ともいわれる。「風邪の流行る季節」の「風邪の流行る」の類。
「がたい(難い)」の意味
「がたい(難い)」は、動詞の連用形に付いて、そうすることが困難であることを表す。~することがむずかしい。という意味です。「理解しがたい」「協力しがたい」「想像しがたい」のように使われます。
「形容しがたい」使用例
- あの大地震直後の惨状は、形容しがたい悲惨な状態だった。
- 生前の子供の写真を見つけた時、自分の中に形容しがたい感情が沸き上がった。
- その唸り声を聞いた時、形容しがたい恐怖感に襲われた。
- 半年待ったシェフの料理を食した感動は、なんとも形容しがたい。
- 年越しライブコンサートは、年越し前から形容しがたい盛り上がりを見せていた。
「形容しがたい」の類義語
「名状しがたい」
「名状しがたい」とは、言葉ではうまく表現できない。言い表すことが難しい。という意味です。「名状(めいじょう)」は、物事の状態や様子を言葉で表すことを言います。
- 彼の人を見下す態度に、名状しがたい怒りが湧き上がってきた。
- このアパートの一室に入った時、名状しがたい嫌な感覚を覚えた。
- 彼女が作った料理は、なんとも名状しがたい味がした。
「言葉では言い尽くせない」
「言葉では言い尽くせない」とは、言葉でうまく表現できず、思いを言い表せない。という意味です。人の喜怒哀楽に基づく感情表現をするのに、言葉を使わずに気持ちを伝える特殊な言い回しです。
- 中学校の担任の先生には、言葉では言い尽くせないほど感謝している。
- 北欧の夜空で見たオーロラに、言葉では言い尽くせないほど感動した。
- 子供のいない妹夫婦は、愛犬に言葉では言い尽くせないほどの愛情を注いでいる。
「筆舌に尽くしがたい」
「筆舌に尽くしがたい(ひつぜつにつくしがたい)」とは、文章に書くことも、言葉で表現することもできない程のものすごい有様。という状況を指す時に使われますが、日常的に口語で使われることは少ないようです。
- この無念さは、筆舌に尽くしがたい。
- 彼女の美しさたるや筆舌に尽くしがたい。
- 孤独死した老人の部屋は、筆舌に尽くしがたい悪臭が漂っていた。
「なんとも形容しがたい」とは
「なんとも形容しがたい」とは、自身の気持ちをうまく表現できず、思いを言い表せないさま。「なんとも」が付くことで、表現できないことを強調する格好になっています。
「なんとも~」という言い方は日常的によく使われる言い回しです。「なにとも」が音変化した言葉で、以下のような意味で使われます。
- 言葉に言えないほど、その程度がひどいさま。はなはだしいさま。「なんとも呆れた人だ」
- これという限定のないさま。はっきり言えない気持ちを表す。「なんとも言えない結果になった」
- 問題にするほどの事でもないさま。特に取り上げる程の事ではない気持ちを表す。「嫌がらせなんか、なんとも思わない」「一食抜くぐらい、なんともない」