「論う」とは?意味や使い方をご紹介

「論う」。この字がすんなりと読める人は、かなりの日本語の達人といえましょう。読み方が難しい漢字のひとつ「論う」は、その意味もまた、わかりやすいとはいえないかもしれません。今回は、「論う」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「論う」とは?
  2. 「論う」の使い方
  3. 「論う」の類語

「論う」とは?

「論う」は、まず読み方で人々がつまづく言葉です。「ろんう」ではありません。字からは予想もつかないような読み方、それは「あげつらう」です。

「あげつらう」ならば、見聞きすることがありますね。その言葉から思えば、「論」という漢字が用いられていることにも納得できるのではないでしょうか。

「あげつらう」とは、物事や人の欠点や短所などについて論ずること、あるいは、それほどでもない短所や失敗などを、ことさらに取り立て、大袈裟に言いたてること、を意味する言葉です。

「論う」ことの心理

上記の二つの意味は、似ているようですが、明確な違いもあります。人の欠点などについて述べる、ということが基本ですが、二つ目の意味は、非難の気持ちや、「大袈裟」に言い立てる、という攻撃性がさらに強いものです。

一つ目の意味でさえ、淡々と述べるわけではなく、「述べ立てる」、積極的に「言いつのる」ニュアンスがあります。つまり、「論う」心理には、積極的にあれこれと言いたいという、批判の気持ちが基盤にあるのです。

人が集まってあれやこれやと噂話などをする「井戸端会議」、あるいは居酒屋などでお酒を飲みながら仕事帰りの人々が憂さを晴らす場面などでは、まさに「論う」状況がとびかっていることでしょう。

「論う」の由来

「論う(あげつらう)」は、もともとは「挙げる」「つらう」という二つの言葉で構成されています。「つらう」は、状態が長く続くことを意味する言葉であり、「挙げつらう」は、なにかについて長々と話し続けることを意味しました。

「論う」の意味に「述べ立てる」「言い立てる」「言いつのる」などの表現があるのは、単に述べる、言う、ということよりも「長々と(欠点などを)話しつづける」というニュアンスがあってのことです。

「論う」の使い方

「論う」ことのひとつの特徴は、主語が複数ではないことです。つまり、複数ではなく、ひとりの人間が事の次第や人の欠点などを非難の気持ちとともに言い立てるのが「論う」です。

その言葉の内容には、非難、批判、攻撃、ときに意地悪な思いも含まれることがあるゆえに、安易には使えない言葉です。

「私は人のことを論うのが好き」などと言ってしまうと、「自分は性格が悪いです」と明言しているようなものです。他者に対して用いるときも、「論う」が多分にネガティブなイメージをもつことに留意して、慎重に使うようにしましょう。

「論う」の文例

  • 鈴木課長は、部下を育成する指導というよりも、それぞれの欠点をただ論うだけなので、人もついていかず、部下も育たない。
  • プロジェクトの意義を論うのではなく、成功に導くための建設的な意見を出して下さい。
  • 親は、子どもの短所を論うよりも、長所や良い面を積極的に伝え、褒めてあげるべきだ。

「論う」の類語

「揚げ足をとる」の意味と使い方

「揚げ足をとる」とは、人のささいな言葉や失敗をとらえて、非難したり、からかったり責めたりすることを意味します。

「論う」のように言い立てる、言いつのる、というのではなく、その瞬間瞬間で他者の言葉や行動に難癖をつけたりするのが「揚げ足をとる」行為。これも、意地悪でネガティブな意味を含む言葉ですので、慎重に使いましょう。

【文例】いちいち人の揚げ足をとるのではなく、共感をもって話を聞いてあげたいものです。

「ケチをつける」の意味と使い方

「ケチをつける」とは、他者の失敗や欠点を見つけ出しては、それを言い立ててけなしたり、難癖をつける行為です。

本当に批判すべきことを主張するのではなく、細かい事、それほどでもないことを、わざわざ取り立てて批判する行為ですので、これも批判される側より批判する方の性格の悪さを表現する言葉になります。

【文例】小林さんは、人の言葉や行為にケチをつけてばかりいるうちに、自分が孤立してしまった。


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