「諮る」とは?
「諮る」は(はかる)と読みます。読み方が難しいだけではなく、日常会話ではまず使われませんので、意味も推察しかねる人が多いかもしれません。「諮る」には大きく分けて、下記三つの意味があります。
- 計画する、ある状況の実現化のために計画や努力をすること、企図すること。
- 他人を騙すこと。
- 対象となる案件や問題について、他者の意見をきく。また、対象の問題について、委員会などから意見をもらうこと。
「はかる」という読み方ができる漢字は、「諮る」以外にも、計る、図る、測る、謀る、量る、などさまざまに存在します。それについては、項を改めて後述します。
「諮る」の使い方
「諮る」は、社会生活やビジネスにおいて知っておくとよい言葉のひとつです。同音異義語も多いため、この機会にしっかりと意味と使い方をマスターしておきましょう。上記の三つの意味ごとに使い方と文例を紹介します。
意味①の「諮る」
一つ目の意味「計画する、実現への努力をする、企図する」においては、「~(企て、計画など)を諮る」という言い回しがよく使われます。
【文例】A社は大規模な海外進出を諮り、資金調達に余念がない。
意味②の「諮る」
二つ目の「他人を騙すこと」という意味においては、騙される立ち場からの受け身型で使われることがほとんどです。
【文例】契約書が偽造されていたようだ。油断して諮られたな。
意味③の「諮る」
「諮」という漢字には、「問う」という意がありますが、そのなかには「位や身分が上の者が下の者に問う、相談をもちかける」という意味も含まれます。「諮問」(しもん)という言葉は、それをよく表しているものと言えるでしょう。
ニュースなどで見聞きする「諮問」は、政府やなんらかの組織が、政策や方針などを決める際、事前に有識者や専門家たちを集め、その案件についての意見や知恵を出してもらうように要請するものです。それらの組織は「諮問機関」「諮問委員会」などと称されます。
国の最高機関から民間組織への「諮問」は、上から下への問い、ともいえますが、現代日本においては、多くの場合、「諮る」は上下関係をぬきにしたものとして用いられています。
【文例】
- 我が社の長期戦略については、一部の案件を外部の専門家グループに諮っているところだ。
- 君の企画を役員会に諮ってみよう。承認されたら、思い切ってやってみたまえ。
「諮る」の類語
「図る」の意味と使い方
「図る」は、計画を立案する、目標事項を実現できるように工夫したり努力すること、企図すること、などを意味する言葉です。
【文例】
- 我が社では、社員一丸となって生産ラインの効率化を図っているところだ。
- 権力者のもとには、なにかにつけて便宜を図ってもらおうという下心をもつ人間が集まるものだ。
- 残業がなかなか減らない現状については、改善を図る必要がある。
「謀る」の意味と使い方
「謀る」は、「諮る」と同様に、計画する、企てるという意味もありますが、もっとも特徴的な意味は、他者を騙す、という意味です。
時代劇などで、「謀反(むほん)じゃ!」と叫び、慌ただしく闘いの準備に入る武士たちの場面を観たことはありませんか?「謀反」とは、為政者に反逆したり背いて兵をあげることを意味します。この「謀」には、騙すというニュアンスも含まれます。
【文例】主君は家臣の一部に謀られ、騙し討ちにあった。
「諮る」の同音異義語
「測る」「計る」「量る」の意味と使い方
「測る」は長さや距離を、「計る」は時間などを、「量る」は分量などをなんらかの計量器を用いて調べることを意味します。
【文例】
- 先生たちは運動会のために、グラウンドに徒競走用のラインを測り、白線を引く作業を行った。
- ケガで体育に参加できないので、50メートル走のタイムを計る役を買って出た。
- お菓子づくりは、正確に材料を量ることが大切だ。