「イキリト」とは
「イキリト」とは、『ソード・アート・オンライン』の主人公、キリトに影響されてイキってしまった人たちを揶揄(やゆ)するインターネットスラングです。
『ソード・アート・オンライン』とは
もともとはネット小説として2002年から2008年にかけてウェブサイトで連載されていた作品です。
作者の川原礫(ウェブサイト掲載時のペンネームは九里史生)が商業作家としてデビューしたのをきっかけに、電撃文庫から刊行されました。海外でも人気を博し、シリーズ累計発行部数が2200万部を超える大ヒット作品で、略称は『SAO』です。
「イキる」とは
「イキる」は「調子に乗る」という意味の言葉です。もともとは関西の方言で、「粋がる(意気がる)」が略されたものと言われています。
あまり柄のいい言葉とは言えず、不良やチンピラが自分を大きく見せようとしたり、誰かに因縁をつける時に使われることが多いです。「なにイキっとんねん」「あんまイキんなや」といった使い方をされ、名詞として使う場合は「イキり」となります。
「イキリオタク」との関連性
「イキリト」と似た意味のスラングに、「イキリオタク」があります。
「イキリオタク」とは「イキったオタク」のことで、明確な定義のない言葉ですが、おおむね、自分がオタクだと公言しつつも、「ほかのオタクどもより優れているんだ」という鼻持ちならない言動をとるオタクのことを指すようです。
つまり、そうしたオタクを「イキリオタク」と呼んで蔑むのは、「ほかのオタク」の人々であるケースが多いわけです。2017年の初めごろから主にツイッターで使われ始めました。
一方、「イキリト」という言葉が登場したのが2017年の6月ごろなので、かなりスパンが短いことがわかります。「イキる」という言葉がネットで流行りだしたのが、ちょうどそのころなのではないかと推察されます(前述のとおり、「イキる」という表現自体は昔からあります)。
なお、「イキリト」の語感の良さから、「イキリオタク」を「イキリト」と呼ぶこともあります。
元ネタになった代表的な「イキリト」
全世界で2200万部以上発行される『SAO』。漫画、アニメ、アニメ映画とさまざまなメディアミックス作品も存在し、特にメインターゲット層である中高生に与えた影響力は計り知れません。
ただでさえ多感な中高生が『SAO』に影響され、調子に乗ってしまうのは無理もないことと言えるのではないでしょうか。
以下に「イキリト」の産みの親とも言うべき代表的なツイートを三つご紹介いたします。
キリトかなーやっぱりw
キリトかなーやっぱりww
自分は思わないんだけど周りにキリトに似てるってよく言われるwww
こないだDQNに絡まれた時も気が付いたら意識無くて周りに人が血だらけで倒れてたしなwww
ちなみに彼女もアスナに似てる(聞いてないw)
ネタと思われるかもしれないけど
ネタかと思われるかもしんないけどマジでキリトに似てるって言われるw 実際はただのオタクなんだけどな…w ちなみに彼女もアスナに似てる(迫真)
キリトかなーやっぱw
キリトかなーやっぱw
一応オタクだけど彼女いるし、俺って退けない性格だしそこら辺とかめっちゃ似てるって言われる()
握力も31キロあってクラスの女子にたかられる←彼女いるからやめろ!笑
俺、これでも中1ですよ?
ps
彼女はアスナ似です(聞いてねえ
「イキリト」のまとめと注意点
上記のツイート三つは内容が酷似しているため、リアルなツイートはこのうちの一つで、ほかの二つはそれを模倣したネタツイートだったのかもしれません。いえ、ネットの世界では、そもそも最初のツイートからしてすでに「ネタ」だった可能性すらあるのです。
しかし、大ヒット作だけあって、自分と『SAO』の主人公キリトを重ね合わせる人が大勢いるのは事実のようです。「キリトかなーやっぱりw」はやがてテンプレ化され、「○○○かなーやっぱりw」から始めるネタツイートがたくさん登場しました。
注意点としましては、「イキリト」はあくまで『SAO』の主人公キリトに影響されて痛い言動をする人を揶揄する言葉であって、「イキるキリト」や「キリトみたいにイキる」のような、『SAO』の主人公キリトを馬鹿にする意味ではないことは知っておく必要があるでしょう。