「去ね」とは?意味や使い方をご紹介

「去ね(いね)」という言葉をあなたは聞いたことがあるでしょうか?関西地方出身の方であれば聞き覚えがあるという方もいらっしゃるかもしれません。複数の意味を持つ言葉ですので、意味や使い方を押さえておきましょう。本記事では、「去ね」について解説します。

目次

  1. 「去ね」とは?
  2. 「去ね」の使い方①:古語
  3. 「去ね」の使い方②:方言

「去ね」とは?

「去ね」(いね)とは、動詞「去ぬ」(いぬ)の命令形です。「往ね」と書く場合もあります。

まずは、原形(終止形)である「去ぬ」の意味を確認しておきましょう。

「去ぬ」の意味

「去ぬ」の意味は、以下の通りです。

  1. 行く。行ってしまう。去る。
  2. 過ぎ去る。時が経過する。(時や事象が)来る。
  3. 死ぬ。
  4. 帰る。
  5. 腐る。悪くなる。

以上のように多義的な「去ぬ」ですが、おおまかに「(人や時や適当な時期などが)去るさま」を、動詞にしたものと考えればよいでしょう。

古語もしくは方言として使用される

「去ぬ」およびその命令形「去ぬ」は、万葉集などの古典の中で用例が見られますが、現在では口語・文語ともにあまり使われていません。

ただし、一部の意味が関西地方の方言として現代にも継承されていますので、以下、「古語」「方言」に分けて使い方をご紹介します。

「去ね」の使い方①:古語

古語としての「去ね」は、主に人間に対し、「去れ、帰れ」「行け、失せろ」「死ね」などの意味で使われます。

現代で「去ね」が使われているのは、時代劇や時代小説、その他フィクション作品などにおいて古風な人物像を演出するための言葉遣いにほぼ限られています。日常会話で使用するとはないといってよいでしょう。

「死ね」の意味から分かる通り、強めの拒絶や排撃の意が含まれますので、「去ね」を使うシーンでは相手への非難や憎悪が表現される場合も多くあります。

例文

  • 日が暮れぬうちに、ここから去ね
  • 去ね!」と言って、刀が振り下ろされた。

「去ね」の使い方②:方言

「去ね」という言葉は、関西地方の方言として、「去れ、帰れ」という意味の使い方が残っています。古語にある「死ね」のような乱暴なニュアンスも含まれる場合があり、主に「私の前から消えてくれ」という意味で使います。

お年寄りの方など、年代によっては単に「帰れ」の意味で使われることもあるようですが、基本的には相手に「私の前から消えろ、行ってしまえ」と命令する言葉です。使用する相手や状況にはよく注意しましょう。

また、感動詞の「~や」をつけて、「去ねや」と使われることもあります。

例文

  • もうお前、どっか去ね!(お前、もうどこかへ行ってくれ!)
  • 早う去ねや!(早く帰れよ[死ねよ]!)


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