「然程(さほど)」とは?
「然程(さほど)」は、副詞「さ」と副助詞「ほど」の複合語で、副詞(程度の副詞)に分類されます。多くの場合、あとに打ち消しの語を伴って用いられ、「それほど」「たいして」と言う意味を表す言葉です。
「然程」の使い方
「然程」が使われるときの打ち消しの程度は、甚だしいものではありません。「それほど」に置き換えればニュアンスが伝わりやすいでしょう。また、表現もどちらかと言えば文語的で、現代の日常会話で使われることは稀な言葉です。
【例文】
- 体調不良で休むことにしたが、然程ひどい病気というわけではない。
- 有名な歌人の作ということで歌碑に残されているが、この歌自体、然程の出来とも思わない。
「然程」の類語
「然程」と同じように、打ち消しの程度が大きくはないことを示す言葉はたくさんあります。代表的なものを、例文とともに並べてみましょう。
「あまり」「あんまり」
副詞「あまり」は、以下のような複数の意味を持ちます。用法によっては、両極端と言えるほどに異なる意味になります。なお、「あんまり」は、「あまり」の口語的表現です。
- 物事の程度が期待・必要以上であること。度を過ぎて。
- (あとに打ち消しの語を伴って)それほど。
【例文】
- あまり暑いので、上着を脱ぐことにした。
- 彼女の料理はあまり美味しくない。
- おかあさん。今日はおとうさんの機嫌が悪いから、あんまり細かいことを言わないほうがいいよ。
「さして」
「さして」の漢字表記は、「然して」あるいは「指して」です。この言葉も「然程」と同じく、あとに打ち消しの語を伴って用いられ、「それほど」「たいして」という意味を表します。
【例文】
- これは、さして重要な問題ではない。
- 彼の腕前は師匠と比べても、さして遜色はない。
「さしたる」
「さしたる」は、連体詞に分類されます。連体詞なので、名詞の前に置かれますが、そのあとに打ち消しの語を続けて、「然程」とほぼ同じ意味を表します。
【例文】
- さしたる用事もなかったが、ふと実家の母の顔が見たくなって帰省した。
- 我々のチームは、さしたる困難もなく目標を達成することができた。