「こけおどし」の意味
「こけおどし」の意味は、「浅はかな見え透いた噓(うそ)や物事で、相手を脅すこと」です。普通の人なら、「おかしいだろう」と思う様な内容で脅してくることを言います。
「こけおどし」は、漢字にすると「虚仮威し」と表記されますが、現在はひらがな表記が主流になっている為、漢字で書ける人は少ないのではないかもしれませんね。
「こけおどし」の使用例
- そんなこけおどしには、騙されない。
- 彼は、携帯画面に表示されたこけおどしの警告文に怯えて、金を振り込んでしまった。
- ただのこけおどしだと思いますが、一応は調査をしておきます。
- 本物を、ただのこけおどしだと勘違いした相手は、大きな損害を被った。
- 正面の立派な造りに圧倒されたが、中は狭く、みすぼらしいこけおどしの家だった。
「こけおどし」の「虚仮(こけ)」とは
「こけおどし」の「虚仮(こけ)」とは、仏教用語が語源で、事実でない偽り(虚)と、実体のないこと(仮)が組み合わさって出来た言葉です。「虚仮」には次のような意味があります。
- 内心と外相が違うこと。真実ではないこと。
- 思慮が浅はかなこと。愚かなこと。また、そういう人。
- 「むやみにすること」の意味を添えたり、けなして言う時に使用する。(名詞などに冠して使用する)
平たく言えば「見せかけだけで中身がないこと」という意味ですね。
「虚仮」を含む故事ことわざ
【虚仮にする】
ばかにしてあなどる。踏みつけにするという意味で、「○○を虚仮にする」という形で用いられます。
- あの先輩が後輩を虚仮にして、道具の様に使っているのを許すことは出来ない。
- 根も葉もないことを言って、私を虚仮にするにもほどがある。
【虚仮の後思案(あとじあん)】
愚者は事に当たっている時は知恵がでず、事が終わってからでるものである。また、物事がおわった後に考えを出すこと、考えが浮かぶことを言います。「下衆の後知恵」と同義です。
- そんないい案があったのか、事前にその考えが浮かんでいればよかったのに。これでは虚仮の後思案だよ。
- 全員一致で決定したことに、後から異論をいうことを虚仮の後思案と言うんだ。
【虚仮の一心(いっしん)】
愚者も一心に仕事をすれば、優れた結果をだしたり、目的を達成する事が出来るという意味で、「虚仮の一念」も同義です。「虚仮の一心、岩をも通す」ということわざにも用いられていますね。
- 幼少の頃から、虚仮の一心でピアノに打ち込んで来たことで、ピアニストとして成功する事ができた。
- 虚仮の一念で事を成す人は、強い忍耐力を持ち、地道な努力を続けられる人だ。
「こけおどし」の「威(おど)し」とは
上述した通り、「こけおどし」の「おどし」には「脅(し)」ではなく「威(し)」の字が使われています。
「威」は、音読みでは「イ」、訓読みで「たけ‐し/おど‐す」と読みます。また、字義やそれを用いた熟語は次の通りです。
- 人を恐れさせ従わせる勢い。…武威(ぶい)・威勢(いせい)・権威(けんい)
- おそれさす。おびやかす。…威嚇(いかく)・威圧(いあつ)・威力(いりょく)
- おそれる。おそれ。…威厳(いげん)・威光(いこう)・威風(いふう)・威容(いよう)
「こけおどし」では、うその大きな勢力を後ろ盾にして脅すことから、この「威」が使用されています。
「こけおどし」の類語・使用例
空威張り
「空威張り」(からいばり)とは、自信がないことを悟られないよう、偉ぶり、威張ること。実力はないが、あるかのように大袈裟に見せることをいいます。
- 彼のように、空威張りばかりしている人は信用できない。
- 自分を大きく見せようとして、空威張りしている人は哀れだ。
- 空威張りしていないで素直に自分の弱さを認めればいいのに。
虚勢を張る
「虚勢を張る」(きょせいをはる)とは、自分の短所や弱点を隠して、外見上は威勢があるように人前で振る舞うこと。
- 虚勢を張る人の心理の一つに、相手より上の立場でいたい、見られたいという思いがある。
- あの人は、プライドが高いのか虚勢ばかり張っている。
- 私は不器用で自分に自信がないから、人前ではつい虚勢を張ってしまう。