「ザッピングシステム」とは?
「ザッピングシステム」(Zapping System)とは、テレビゲームにおいて、複数のキャラクターの操作・視点を切り替えるシステムのことです。
「ザッピング」には「テレビのチャンネルを次々に切り替えること」という意味がありますので、それをゲームにおけるキャラクターの操作変更になぞらえているわけですね。
主な使い方
- 複数のキャラを切り替えつつ進めていくような、ザッピングシステムのあるゲームがやりたいんだけど、何かお勧めない?
- 『バイオハザード2』といえば、ザッピングシステムを採用したことでも有名になったよね。
「ザッピングシステム」の例
一口で「ザッピングシステム」と言っても、様々な活用の形があり、ゲーム制作側が「ザッピングシステム採用!」と銘打っている場合もあれば、ユーザー側が勝手にそう呼んでいるだけという場合もあり、明確な定義はないようです。
一般に「ザッピングシステム」と呼ばれているのは、以下のようなシステムです。
- 第一章でキャラクター「A」を操作し、第二章ではキャラクター「B」を操作する。
- 任意の操作によって、ほぼリアルタイムにキャラクター操作が切り替わる。
- キャラクター「A」でひとつのシナリオをクリアしたのち、キャラクター「B」が同じシナリオを異なる視点からプレイする。(それぞれのキャラクターの行動が、お互いのシナリオに影響を与える場合がある)
「ザッピングシステム」には該当しない例
以下のようなシステムは、「ザッピングシステム」に似ていますが、一般的には該当しないと言われています。
- 最初に複数の候補から操作キャラクター(主人公)を選び、途中で変更を挟むことなく、そのキャラクターでゲームをクリアする。(他のキャラクターを選んだ場合の進行に影響を与えない)
- 操作キャラクターを変更できるのが戦闘中のみ、ミニゲーム中のみ、特定のイベント中のみなど、限定された状況のみ。
このうち後者は広義に「ザッピングシステム」と呼ばれることもありますが、基本的には「操作の変更がゲーム全体の遊び方に影響を与えるシステム」が「ザッピングシステム」と呼ばれることが多いようです。
「ザッピングシステム」のメリット
「ザッピングシステム」が採用されたゲームのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 複数のキャラクターの視点からシナリオを読み解くことで、ストーリーに奥行きが出る。
- キャラクターごとに異なる特性や特殊能力を生かして、立ちふさがる障害を乗り越える創意工夫が面白い。
- 用意されたシナリオをなぞるだけではなく、自分が選んだ行動や選択によって独自のシナリオが作られていくのが楽しい。
また、ゲーム制作側としても、同じ舞台(背景グラフィックなど)を使いまわせるため、製作にかかるコストが少なく済むという利点があるようです。
「ザッピングシステム」のデメリット
「ザッピングシステム」については、以下のような点をデメリットとして挙げる声もあるようです。
- 複数のキャラクターのプロフィールや能力、進行状況を把握しておかねばならないのは面倒。
- ゲームの進行が複雑になりやすく、シナリオの設定や時系列についての矛盾も生じやすい。
- せっかくあるキャラクターの操作に慣れ、愛着も沸いたのに、ゲームの都合で強制的に変更させられることがあるのは面白くない。
「ザッピング」の由来
「ザッピングシステム」における「ザッピング」とはもともと、近世ヨーロッパにおいて、背負い袋(zap)を背負って山野をあちらこちらへ気ままに散策する娯楽のことを指していました。
これが後世にテレビのチャンネルを切り替えつつ、複数のコンテンツを同時に視聴する楽しみ方を指すようになり、これがさらにテレビゲームの「キャラクターの操作切り替え」を指す意味にも転じたと考えられています。
元々の由来からはかなり意味が離れた使い方をされている感もありますが、あちらこちらへ操作や視点を切り替える「ザッピング」は、一般に「双方向性」を重視するとされるテレビゲームと相性が良かったのかもしれませんね。