「讒言」の意味
「讒言(ざんげん)」とは、「他人を陥れようとして、事実を曲げて、告げ口をすること」を指す言葉です。「うわごと」と読むこともあります。
普段の生活ではあまり目にすることのない、かなり古めかしい表現です。また「讒」という字もかなり難しいため、なかなかとっつきにくい言葉かもしれません。
「讒言」の使い方
「讒言」はとても堅いイメージのある言葉で、そもそも読み方を知っている人のほうが少ないのではいうほどの難しい漢字です。
日常会話や通常の文章などでは、「陰口」や「告げ口」のような一般的に用いられている言葉を選んだほうがコミュニケーションがスムーズに進むでしょう。
一方で、改まった場面や小説などの文芸作品で用いると、知的で格式高い印象を与えることができます。ケースバイケースで使い分けると良いでしょう。
「讒言」の例文・使用例
- 気に食わない先輩を出世レースから引きずり降ろすために、彼は繰り返し部長に讒言したが、部長はそのような彼の意図を察していたのか、まったく相手にしなかった。
- 反逆を企てているとの讒言を受けた彼は、まもなく要職から外され、僻地へと飛ばされてしまった。
- 彼は社長に対して「専務が社長の座を奪おうとしている」という讒言を行い、これを信じた社長は専務を降格させた。
- 陰謀と讒言が渦巻く宮中では、今日も大臣たちが不敵な笑みを浮かべていた。
「讒」の字義
「讒言」の「讒」という漢字には以下のような意味があります。
- そしる。
- 陰口を言って人を陥れる。
- 告げ口
- そしり
- へつらう、おもねる
- よこしま
ご覧の通り、ネガティブな意味ばかりです。大きく分けると「他人を悪く言う」「自分より上の者に媚(こび)を売る」といった二つのニュアンスを持つ言葉です。
「讒言」の類語
陰口
「陰口(かげぐち)」とは、「当人のいない場所で悪口を言うこと」を指す言葉です。なお、たまに「影口」と書く方がいますが、これは間違いです。
「影」という漢字は「光が当たって出来る黒い影」を指すのに対し、「陰」は「光が当たらないところ」や「見えないところ」を表します。よって「かげぐち」は「陰口」と書くのが正しいです。
なお「陰口を叩く」という慣用表現で用いられることもあります。「口を叩く」とは「口数多くしゃべる」ことを意味しています。
誹謗
「誹謗(ひぼう)」とは、「他人を悪く言うこと」「他人をそしること」を指す言葉です。「誹」も「謗」も共に「そしる」を表す漢字で、「人を悪く言う」「けなす」といった意味があります。
中傷
「中傷」とは、「根拠のないことを言いふらして、他人の名誉を傷つける」ことを言います。「誹謗」とセットになった「誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)」という表記もよく見られます。
誣告
「誣告(ぶこく)」とは、「わざと事実を偽って告げること」「他人を陥れようとして、偽りの訴えをすること」を言います。「誣」という漢字には「事実を曲げて言う」「こじつける」「あざむく」といった意味があります。
なお刑法の分野では、かつて偽りの告訴・告発をする罪のことを「誣告罪(ぶこくざい)」と呼んでいました。現在では「虚偽告訴罪」という名称が使われています。