「唐突」とは?
「唐突」は、突然で前後のつながりがない様子を表す言葉です。つまり、「いきなり」「急に」ということですね。「唐突」は形容動詞で「唐突だ」を終止形としています。また、「唐突さ」は派生した名詞形です。
「唐突」の使い方
「唐突」は、まったく予想だにしない状況下で起きた出来事に用いられる言葉です。たとえば、前後関係が伏せられた、「彼は唐突に指輪を差し出した。」というたった一文であっても、急な出来事に対する驚きや戸惑いなどがみてとれるでしょう。
【例文】
- あまりに唐突な契約打ち切りの通告に、思わず苦笑してしまった。
- このタイミングでの記者会見は、あまりに唐突すぎはしないだろうか。
- いきなり辞表を出した彼の唐突さには本当にびっくりしたよ。
「唐」「突」の字義
「唐」
「唐」は中国の意味や中国の王朝名で、「唐人」「唐土」といった熟語でも用いられていますね。しかし、「唐突」の「唐」はこれとは別で、「にわかに・突然」という意味です。
「突」
「突」の字には、主に、「つく・ぶつかる・つき出る」や「にわかに・だしぬけに」のような意味があります。「衝突」「突出」などの熟語は前者の意味で、「唐突」は後者の意味で用いられています。
つまり、「唐突」は似たような意味の漢字を並べてできているのです。
「唐突」の類義語
俄然
「俄然(がぜん)」は、「俄」に状態を表す接尾辞の「然」が付いた言葉で、「にわかなさま」あるいは「にわかに」という意味です。現在では多くの場合、後者の副詞的な意味で、「俄然やる気に満ちてきた」のように用いられます。
しかし、「俄然やる気に満ちてきた」を「唐突に」で言い換えることはありますが、「唐突に足を止めた」を「俄然」で置き換えることはほとんどないようです。
「俄」は訓読みでは「にわ-か」と読みます。字義はいくつかありますが、ここでは「にわか」という意味で使われています。
忽然
「忽然(こつぜん)」における「忽」の字義は、「たちまち・いつの間にか」です。「忽然」は「にわかに・突然」または「にわかに現れたり消えたりするさま」を表します。多くの場合、後者の意味で、「忽然と姿を現した」のように用いられます。
これを「唐突に姿を現した」と言い換えることはできますが、「唐突に雨が降り出した」を「俄然」で言い換えるケースはほとんどありません。
突如
「突如(とつじょ)」の「如」は状態を表す言葉について語調を整える働きがあります。つまり、「突如」は、「だしぬけに・にわかに」または「にわかなさま・急に起こるさま」を表す、「突然」と同義の言葉です。
「突如」や「突如として」のかたちで、「唐突」を言い換えることができます。
不意
「不意」は「思いもよらないこと・だしぬけ」という意味で、「唐突」と同じように使われる言葉です。
「唐突」を英語表現
サッカー用語として、以前は「サドンデス方式」という言葉が使われていました。"sudden death"(突然死)に由来する言葉で、同点の場合に行われる延長戦において、先に得点した方が勝ちとする勝敗のつけ方を言います。
形容詞の"sudden"(突然の)、あるいは、この副詞"suddenly"、"all of a[the] sudden"などは、「唐突」の英語表現のひとつです。
- I have been surprised by his sudden confession.(彼の唐突な告白に驚いた。)
- Suddenly my mother's memories revived.(唐突に母の思い出が蘇った。)
- All of a sudden the car broke down.(唐突に車が故障した。)
このほかにも、"all at once"(突然に)や"in a clap"(突然に)、"like a shot"(弾丸のように→すぐに・突然)などで「唐突」を表すことができます。