「眉目秀麗」の意味
みなさんも「眉目秀麗(びもくしゅうれい)」という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。ただし、なんとなく褒め言葉だということはわかっていても、正確な言葉の意味はわからないという方も多いのではないでしょうか?
「眉目秀麗」は、難しい意味を持つ言葉ではありません。「眉目」とは眉と目のことですが、見目・容姿という意味も持っています。「秀麗」とは読んで字のごとく優れてうるわしいことです。つまり「眉目秀麗」とは、「見目うるわしい」という意味なのです。
「眉目秀麗」の使い方
眉目秀麗は人の容姿を表す言葉なので「あの人は眉目秀麗だ」「眉目秀麗なる青年が登場した」といった使い方をします。ただし、この言葉を使用する際には以下の点に注意してください。
人間以外には使用しない
まず、この言葉は人間以外には使用できません。どんなに美しくとも、「眉目秀麗な景色」や「眉目秀麗な装飾」などといった使い方はNGです。景色や彫刻には「眉目」がありませんからね。
では人型の彫刻などはどうかというと、「眉目秀麗な男性の彫刻」といった使い方なら、必ずしも誤りとは言えません。ただしこの場合、「眉目秀麗」が修飾しているのは「男性」という語句であって、「彫刻」ではないということに留意してください。つまり「眉目秀麗な彫刻」とするのは、やはりNGだということです。
女性には使用しない
もう一つ注意が必要なのは、「眉目秀麗」は女性に対しては基本的に使用しないという点です。「イケメン」という言葉を基本的に女性に使用しないのと同じように、「眉目秀麗」は男性の容姿の美しさを表す言葉なんですね。
では女性の容姿を褒めるときは、どんな言葉を使ったらいいのでしょう。以下に「眉目秀麗」の関連語として、容姿を褒める意味の四字熟語をピックアップしました。この機会に、褒め言葉のストックを増やしておきましょう。
「眉目秀麗」の関連語
女性の容姿を褒め称える四字熟語として代表的なのは「容姿端麗(ようしたんれい)」です。「端麗」は「形や姿が整っていて美しいこと」で、「眉目秀麗」同様に「見目うるわしい」という意味を持っています。ただし「容姿端麗」は女性限定ではなく、男性に対しても使用されることがあります。
女性限定で使用される褒め言葉としては「仙姿玉質(せんしぎょくしつ)」などが挙げられます。「宝玉のようなすべらかな肌を持った、仙女のごとき女性」という意味で、人並み外れた美人を指す言葉です。
また、女性の美しさを称えることわざに「立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合の花」というものもあります。これは女性の容姿のみならずその所作も褒め称える言葉なのですが、元々は生薬の用い方に関する都々逸(どどいつ)だったと言われています。
「眉目秀麗」の反語
「眉目秀麗」とは反対に、容姿の悪さを表す四字熟語も存在します。例えば「醜悪奸邪(しゅうあくかんじゃ)」は、「容姿が醜く心がよこしまなこと」を意味する四字熟語です。また「鴟目虎吻(しもくこふん)」は、「欲深く残忍な顔つき」を表す言葉です。
「眉目秀麗」な偉人
ところで、眉目秀麗と称される歴史上の人物は、意外とたくさんいることをご存知ですか?日本の偉人では、大河ドラマにもなった戦国武将・直江兼続(なおえかねつぐ)が眉目秀麗だったと言われています。同じ時代では、後に直江兼続の主君となる上杉景勝と跡目を争った、上杉景虎(うえすぎかげとら)もまた、眉目秀麗な青年でした。
大内家の家臣、陶晴賢(すえはるかた)も美少年で、主君であった大内義隆とは衆道(しゅうどう)の関係だったと言われています。美少年と言えば織田信長の寵愛を受けた家臣・森蘭丸(もりらんまる)や、島原の乱を起こした天草四郎も有名ですね。
海外では例えば、ピアノの魔術師と言われた作曲家フランツ・リストも眉目秀麗な青年でした。リストは女性客から大変な人気があり、世界で初めて公演にてグッズを販売した人物だとも言われています。
このように眉目秀麗と称される偉人を挙げればキリがなく、「本当かよ」と思ってしまうところもなくはありません。しかし続々と世に出る現在のイケメンタレントたちの数を思えば、美青年とされる歴史上の人物がどれだけ多くいようが、訝しむことでもないのかもしれませんね。