「れっきとした」とは?
疑いようのない
「れっきとした」とは疑いようのない、正真正銘明らかな、しっかりとしたという意味です。理屈や一般常識から判断して適切なこと、もっともであること、を表します。
刑事ドラマで「れっきとした証拠」といいますが、明確な証拠という意味です。言い逃れのできない、確かな証拠ですね。「れっきとした理由」なら正式で正当な理由、「れっきとした事実」なら確かに現実に起きたこと、を意味します。
【例文】
- 食事をしておきながら代金を払わずにいなくなった。これはれっきとした犯罪だ。
- 言い逃れはできんぞ。こっちにはれっきとした証拠があるんだ。
- しかしこの男が事件当時、別の場所にいたのもまたれっきとした事実なのである。結局、犯人は別の人物だった。
由緒正しい
「れっきとした家柄」や「れっきとした貴族」という際の「れっきとした」は由緒正しい、格式がある、正式なという意味です。そんじょそこらのものとはわけが違う、世間からも認められているということですね。
浄瑠璃にでてくる「れっきとした親」も同様です。役所にも届け出ている正式な親のことを指しています。また、「れっきとした彼女」や「れっきとした夫」の場合には正式な交際相手、公的な結婚相手という意味です。
【例文】
- れっきとした貴族に生まれたのだから、スキャンダルなど起こさぬように。
- 私というれっきとした許嫁がおりながら、なぜこのような女をそばに置くのですか?
- みんな、静かにしなさい。れっきとした神社にいるんだから。この件は帰ってから話そう。
「れっきとした」を漢字で書くと
「れっきとした」は漢字で「歴とした」と書きます。当て字ではありません。これが正しい表記です。
「歴」にはもちろん「歴史」や「経歴」のように過ごしてきた時間、巡ってきた事柄という意味があります。しかし、成り立ちから言えば整然とした、はっきりしたという意味が先にあります。
「歴」は屋根の上に整然とイネを並べた様子から生まれた字です。並んだイネを数えて歩くことから、過ぎる、数えるという意味も持つようになりました。
「れっきとした」の類語
正真正銘
「正真正銘(しょうしんしょうめい)」とは嘘偽りのない真実、疑いようがなく本物であるという意味です。美術品や骨とう品の鑑定で、間違いなく本物という意味で使われているのを聞いたことがあるでしょう。
「正真」とは本物であることや真実であることを意味します。そして、「正銘」は嘘や間違いがない、確かにそのとおりであるという意味です。よく似た二つの言葉が合体して「正真正銘」になったというわけです。
お歴々
「お歴々」という言葉があります。身分の高い人や家柄のある人、権威を持っている人たちのことです。ビジネスや小説で見聞きしたことがあるでしょう。
ここでの「歴」は他とは区別できる、はっきりと異なるという意味です。一般人と区別できるような特別な人たちとは、権力者や実力者ですね。敬意を表す「お」も先頭につくことでさらに丁寧な表現になっています。
よく嫌味な表現として使われますが、この言葉自体には悪い意味はありません。使い方や使う側の意図の問題です。誤解を招く形でなければ大丈夫でしょう。
基本的には複数の人をまとめて指す言葉です。「人々」や「方々」と同じですね。一人でも使えるという意見もありますが、誤用とする意見が多いです。