「五分」を「ごふん」と読む場合
「五分(ごふん)」は時間を表す言葉です。皆さんも日常で、一日の中で何度となく使っているでしょう。ただ、一口に「五分」と言っても、時刻を表す場合と、時間の長さを表す場合の二つがあります。
「一時五分」は、「一時の5分(300秒)後」という時刻です。一方で、「五分後」「五分間」「徒歩五分」という使い方をするときは、時間の長さを表しています。
「五分」を「ごぶ」と読む場合
「五分」を「ごぶ」と読む場合、意味はいくつかに分かれます。いずれも長さや割合を表し、基本的には「半分」という意味になります。
まず、「五分」は割合を表す言葉です。現代の日本では割合を「消費税10%」のようにパーセンテージ(百分率)で表すことが多いですが、それとは別に、古くから日本で使われている「歩合(ぶあい)」という割合の表し方があります。
百分率でいう10%を「一割」とします。そして、「一割」の半分が「五分」です。つまり、「五分」はパーセンテージでいう5%に相当します。
また、昔の長さの単位に「寸」がありますが、一寸の半分を「五分」と呼びます。一寸は約3cmなので、五分は約1.5cmです。
「五分」は単純に「半分」という意味でも使われます。さらに、「互いに優劣のない、対等な状況」を意味する、「五分五分」の省略表現としての使い方もあります。
「五分(ごふん)」は「5分」と表記することもできます。しかし、「五分(ごぶ)」は一般的には、「5分」という表記はしません。
「五分」の例文
ここでは、「五分」を「ごぶ」と読む場合の例文を見ていきます。
- 今後も続けていくかどうかは、正直、五分ですね。
- 五分袖の着物を着る。
- 投票結果見たけど、五分だったね。
- 桜はまだ五分咲きだ。
「五分」の英語
時間の「五分」は英語で"five minutes"です。また、割合としての「五分」は英語で表現すると、「five percents」となります。
「五分五分」の英訳は"fifty-fifty"です。"fifty"は「50」を意味する言葉ですから、"fifty-fifty"は「50:50」、すなわち「50%と50%」「半々」「五分五分」を意味します。"half and half"という表現も同じ意味です。
"fifty-fifty"や"half and half"はちょっと長い、という人には"even"という表現があります。"even"は一般的には「~でさえ」という意味の副詞として使われますが、それとは同じつづりながら別の単語として、形容詞"even"が存在します。
形容詞としての"even"は「平らな」「平行な」「同等な」という意味です。日本でも「五分五分」という意味で「イーブン」というカタカナ語が使われています。
「五分」が使われる言葉
五分刈り
「五分刈り」は丸刈りの一種で、ここでの「五分」は髪の長さを表します。ほかにも「七分刈り」や「二厘刈り」など、髪の長さで呼び方が変わります。「五分」は1.5cmを意味していますが、五分刈りは髪の長さを0.9㎝で揃えます。もしかしたら、「長さ」の「五分」ではなく、「元の髪の長さから5%くらいの長さにする」という意味かもしれません。
五分粥
「五分粥」はおかゆの種類で、水の配分で名前が変わります。まず、基準となる「全粥」というおかゆがあって、これはお米に対して5倍の量の水を使います。その半分の量の水でつくるのが五分粥です。
五分袖
「五分袖」は袖の長さを表します。洋服の場合は、「半袖」と同義語と考えてよいそうですが、和服は「五分袖」と「半袖」は違うものとして扱われます。
五分咲き
「五分咲き」は花の咲き具合を表す言葉です。「満開」から見て半分程度の開花状況に対して「五分咲き」を使います。
一寸の虫にも五分の魂
「一寸の虫にも五分の魂」とは、長さが一寸程度の虫でも、その半分に当たる五分くらいの魂を持っているのだから、弱いもの、小さいものでも馬鹿にしてはいけない、という意味のことわざです。
「五分の魂」の「五分」については、「一寸の半分」という解釈と、「他と対等の、それ相応の」という解釈の両方が存在します。