「師事する」とは?意味や使い方をご紹介

「師事する」には「師として敬い、教えを受ける」という意味があります。学問、芸術、スポーツなどあらゆる分野でその道を極めた「先生」に対し、彼らとの師弟関係を結んでいることを表す言葉です。ここでは「師事する」の意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. 「師事する」とは?
  2. 「師事する」の意味
  3. 「師事する」の使い方
  4. 「師事する」の類語

「師事する」とは?

「師事する」とは『相手を師として敬い、教えを受けること』を意味する言葉です。自分が誰かの弟子として学んでいる場合などに使います。普段の会話で頻繁に使用することはありませんが、かしこまった場面などで使われます。

「師事する」の意味

「師事する」は「師」「事」の二つの漢字と、「する」という動詞から成り立つ言葉です。「師」は「先生」を意味し、人に教えを与える人、手本となる人を指します。さらに技術が優れた人や専門家に対し「尊敬」の意味を込めて使われたりもします。

「事」は「ことがら」や「できごと」を表す漢字です。しかしそれ以外にも「仕える(つかえる)」という意味もあります。「する」という言葉は、名詞に付いて、前に付いた名詞を動詞化させる働きを持つ語です。

この三つが合わさった「師事する」という言葉には、「尊敬する先生に仕えて、教えを受けること(をする)」という意味があります。

「師事」について

「師事」という言葉は、古くは中国の漢の時代に書かれた古典「史記」(司馬遷著)に記載が見られ、その後、史記の伝来と共に日本へもたらされた言葉と考えられます。

ちなみに、「師事」は「教えを受ける」という意味から、一見すると受動態(受け身)に見えますが、登場する中国古典においても受動態ではなく、能動態(自分からはたらきかける形)として使用されています。

「師事する」の使い方

「師事する」における「師」とは、学問、芸術、スポーツ、あるいは精神修養、宗教、どのような分野であれ、その道に秀でており、また尊敬されるような人物です。

年下でパソコンの知識が豊富な人に、バイト代を払ってノウハウを教えてもらう場合、「師事する」ではなく「教えてもらう」が適切です。

しかし、たとえ年下であっても、その技術や知識、人格に敬服し、自分もパソコンの達人になるべく教えを乞う場合は「師事する」を使っても良いでしょう。

(A男)

柔道家の鈴木先生は、技能だけではなくお人柄も高潔で立派な方だ。敬服し、師事して以来10年がたったよ。

(B子)

ヨガ教室で、性格においてもバランス感覚に優れた素晴らしいお人柄の佐藤先生と出会え、以来個人的に師事するお許しを頂けたことは望外の幸せだったわ。

(C男)

漫画家の山田和男さんは弟子はとらない主義だったんだ。でも、どうしても師事したくて日参し、助手仕事をもらえたのが今の人生の第一歩だったよ。

「師事する」の類語

「師事する」のように師弟関係を表した言葉は他にもあります。ここでは代表的な三つをご紹介しましょう。

門下に入る(もんかにいる)

「門下に入る(もんかにいる)」とは、「師の門(学びの場)に入り、その教えを受けること」を意味する慣用句です。同様の意味を持つ言葉に、「門弟(もんてい)になる」、「門下生(もんかせい)になる」などがあります。

例文:この度俳句賞を受賞した母は、若いころから俳人大木一郎氏の門下に入り、俳句の研鑽をつんできた。

私淑する(ししゅく)

「私淑する(ししゅくする)」とは、「直接の教えを受けることはないが、その人の技能や業績などに敬服し、密かにそれを規範として学ぶこと」を意味する言葉です。

「師事する」との大きな違いは、実際の師弟関係は持たず、ひそかに心の中で師と仰いで学ぶ、という点です。

例文:小説家田中次郎の小説に衝撃を受け、自分も小説家になることを決意した中村君は、彼に私淑し、その短編を書き写すなどして学んでいる。

薫陶を受ける(くんとうをうける)

薫陶を受ける(くんとうをうける)」とは、「優れた人格や品位ある人物に影響され、自身の心も磨かれていくこと」を意味する慣用句です。

相手と直接交流して影響を受けた場合と、面識が無くとも相手の偉大さや尊敬すべき点に感化された場合の、双方で使うことができます。

例文:高校時代の恩師に薫陶を受け、自分も同じように生徒を愛し、導いていく教師になろうと決意した。


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