「暴虐無人」とは?意味や使い方をご紹介

「暴虐無人」という言葉をご存知でしょうか。「おや?」と思った方、正解です。「暴虐無人」という言葉は存在しません。傍若無人、または暴虐非道と間違えた表現でしょう。今回は「暴虐無人」の正しいかたち、「傍若無人」と「暴虐非道」の意味や使い方を解説します。

目次

  1. 「暴虐無人」とは
  2. 「傍若無人」とは
  3. 「暴虐非道」とは

「暴虐無人」とは

「暴虐無人(ぼうぎゃくぶじん・ぼうぎゃくむじん)」という言葉はありません。このような造語があるとして、意味を考察するなら、「酷い(むごい)行いで他人を苦しめる人でなし」というところでしょうか。

「暴虐無人」の実際に使われてしまった例としては、「暴虐無人ぶりに驚くばかりだ」「暴虐無人な活動」などがありますが、これらは誤用です。正しくは、「傍若無人」または「暴虐非道」。ここでは、「傍若無人」と「暴虐非道」、それぞれについて解説します。

「傍若無人」とは

「傍若無人」の意味

傍若無人(ぼうじゃくぶじん)」とは、「人前をはばからず、勝手気ままな言動をすること、または、その様子」を表す四字熟語です。

「傍若無人」の使い方

  • 彼の傍若無人な態度には腹がたつ。
  • 傍若無人に振る舞っていては誰も君のことは認めてくれないよ。
  • 彼女の傍若無人ぶりは、周りの人間も持て余し気味だ。

「傍若無人」の由来

「傍若無人」は訓読すると「傍らに人無きが若し(かたわらにひとなきがごとし)」となります。これは、中国の『史記(刺客列伝)』にある、次のような故事に由来します。

中国、戦国時代のこと。荊軻(けいか)は、高漸離(こうぜんり)たちと、燕(北京)で毎日酒を飲んでいました。宴もたけなわになると、高漸離の筑(弦楽器の一種)に合わせて歌い、さんざん騒いだ挙句に抱き合って泣き出したりする始末。彼らはまるで傍に人がいないかのような振る舞いをして暮らしていました。

 

  • 荊軻:中国戦国時代末期の剣客。燕の太子・丹の命を受けて、秦舞陽(しんぶよう)と共に秦王・政(のちの始皇帝)の暗殺を試みるが失敗し、殺された。
  • 高漸離:筑(筝のような楽器)の名手。荊軻の暗殺失敗ののち、筑の腕を買われて始皇帝に召し抱えられるが、演奏中に皇帝を殺害しようとして失敗、誅殺された。

「傍若無人」の類語

【得手勝手(えてかって)】
他人のことは考えず、自分に都合のよいように行動すること、わがまま様子を表す言葉。「得手勝手な振る舞い」「得手勝手を言う」のように用います。

【眼中無人(がんちゅうむじん)】
何物をも恐れぬ様子、おごりたかぶって人を人とも思わぬさまを指します。「眼中無人に行動する」「眼中無人な物言い」のように使用。

【傲岸不遜(ごうがんふそん)】
自分を偉い人間と考えて威張り返り、人を見下すこと、またはその様子のこと。「傲岸不遜な態度」「傲岸不遜に振る舞う」のように使います。

【野放図・野方図(のほうず)】
「野放頭」は当て字。横柄なことや人を人とも思わないずうずうしい態度、または、際限のないことを指す言葉です。「傍若無人」の類語としては前者の意味で、「野放図な言動」「野放図に暮らす」のように使用。

放辟邪侈(ほうへきじゃし)】
思うまま好き勝手に悪事を働くことを指す言葉です。「放辟邪侈な人」「放辟邪侈ぶりを改める」のように用いられます。

「暴虐非道」とは

「暴虐非道」とは

「暴虐(ぼうぎゃく)」とは、「乱暴で残虐なこと・酷い(むごい)ことをして人を苦しめること」。「非道(ひどう)」とは、「物事の正しい筋道や、人としての道にはずれていること」を表しています。

この二つを合わせた言葉暴虐非道(ぼうぎゃくひどう)」は人の道を外れた残酷で乱暴な行い、または、そのような行いをする人」という意味です。「暴虐無道(ぼうぎゃくむどう)」とも言われます。

なお、「非道」には、このほかに「専門外のこと」や「男色・衆道」という意味もあります。

「暴虐非道」の使い方

  • 暴虐非道な弾圧が行われた。
  • 暴虐非道に暴れまわり、破壊の限りを尽くした。
  • 彼らの暴虐非道ぶりは、街を恐怖に陥れた(おとしいれた)。

「暴虐非道」の類語

【悪逆非道(あくぎゃくひどう)】
「人の道を外した邪悪な行い」という意味で、「悪逆無道(あくぎゃくむどう)」も同義。「悪逆非道な行為」「悪逆非道に振る舞う」のように使います。

【極悪非道(ごくあくひどう)】
「悪逆非道」と同じ意味です。

【残酷非道(ざんこくひどう)】
「むごたらしく、人の道に背いている様子、または、そのような行い」のことです。「残酷非道な行い」「残酷非道に振る舞う」のように使用。

【大逆無道(たいぎゃくむどう・たいぎゃくぶどう)】
「はなはだしく人の道にそむき、道理を無視した行為」を指す言葉。「大逆無道の汚名」「大逆無道な攻撃」のように使います。


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