「多いのではないでしょうか」とは
「多いのではないでしょうか」は、人や物の数が多い時や、考え方など何かの割合が多いだろう場合に、その事実を相手へ伝える言葉です。例えばレジでお金を多く払い過ぎた時、店員さんから「(お支払い額が)多いのではないでしょうか」と言われるかもしれません。
丁寧語の「でしょうか」が語尾に付いていることから、「多いのではないでしょうか」は敬語の表現であることが分かります。
初対面同士などの丁寧なコミュニケーションが必要な場面で、『多い』という事実を、相手への敬意を保ちながら示すための言い回しが「多いのではないでしょうか」という言葉です。
「多いのではないでしょうか」意味
「多いのではないでしょうか」は『たぶん多いだろうと思いますが、どうですか』という意味の疑問文です。ある物や事の量が多いことを相手に確認し、同意を求める際に使われます。『ない』という言葉が含まれていますが、「少ないこと」は意味していません。
「でしょう」は丁寧な推量を表す言葉で、敬語を必要とする場面で多く用いられます。「でしょう」を取った「多いのではないか」という表現でも意味は変わりません。しかし「でしょう」が加わることで、柔らかく角の取れた印象を相手に与えることが出来ます。
「多いのではないでしょうか」使い方
「多いのではないでしょうか」は大きく分けて、①実際に大量である場合と、②大量の見込みがある場合の2種類のタイミングで使用されます。
①のパターンは多いという事実の確認、②のパターンは多いという事実に同意を求める際に使われます。
①物の数、量が大である場合に
- 小学4年生の子どもに1万円のお小遣いは少し多いのではないでしょうか。
- 先月に比べると、今月の残業時間はだいぶ多いのではないでしょうか。
- 長雨の続いた今夏の降水量は、いつにも増して多いのではないでしょうか。
- 正月明けのごみの収集量は、各自治体共かなり多いのではないでしょうか。
②考え方や習慣などで過半数の見込みがある場合に
- 急な雨に備えて、雨具をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
- 仕事帰りに「かならず息抜きをする」という方も多いのではないでしょうか。
- 「わがまま」と「自己主張」とを混同してしている人が多いのではないでしょうか。
- 職場内の人間関係に悩む人は多いのではないでしょうか。
「ない」を含む疑問文
「多いのではないでしょうか」という疑問文には、否定を示す形容詞「ない」が含まれています。しかし決して「少ない」ことは意味しておらず、「多い」ことを示す言葉であることに疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
『否定疑問文』と呼ばれるこの表現は、相手へ丁寧な印象を与えたい時に使われるものです。話し手が自分の思うこと(多い)を否定(多くない)して尋ねることで、へりくだった態度を表す効果があります。
否定疑問文は、そうした相手への印象を決定づけるための構造であり、文章の意味には影響を持ちません。そのため、一見矛盾した表現のようですが、言葉として成り立っているのです。
「多いのではないでしょうか」まとめ
目上の人や初めて会う人に、何か「多いだろうなあ」と思うことがあった時、「多いのではないでしょうか」と尋ねることで、反感を持たれることなく、円滑な会話を行うことが出来ます。
また、大勢に何か主張した場合にも「多いのではないでしょうか」という問いかけで同意を得ることが出来るかもしれません。